質問主意書

第212回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一二第一二七号
  令和五年十二月二十六日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出学童保育が抱える諸課題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出学童保育が抱える諸課題に関する質問に対する答弁書

一について

 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第六条の三第二項に規定する放課後児童健全育成事業(以下「放課後児童クラブ」という。)の受皿の整備については、平成三十年九月十四日に公表した「新・放課後子ども総合プラン」に基づき、待機児童の解消を図り、女性の就業率の更なる上昇に対応することが必要であるとの考えの下、令和五年度末までに約三十万人分を追加で整備し、全体で約百五十二万人分の受皿を確保するよう取組を進めてきたところであるが、令和五年六月二十八日にこども家庭庁において「放課後児童クラブの実施状況(速報値)」で公表しているとおり、同年五月一日時点における放課後児童クラブを利用する児童の数は百四十四万五千四百五十九人となっていることから、同年度末までに同プランで掲げた受皿整備の目標を達成することは困難な状況にあると考えている。政府としては、「こども未来戦略」(令和五年十二月二十二日閣議決定。以下「こども未来戦略」という。)において、今後三年間の集中取組期間において、できる限り前倒しして実施する「加速化プラン」として、「全てのこどもが放課後を安全・安心に過ごし、多様な体験・活動を行うことができるよう、新・放課後子ども総合プラン(二千十九年度~二千二十三年度)による受け皿の拡大(約百二十二万人から約百五十二万人への拡大)を目指してきたところであるが、本年度末までにその達成が困難な状況であることを踏まえ、この目標を加速化プランの期間中の早期に達成できるよう取り組むとともに、放課後児童クラブの安定的な運営を図る観点から、二千二十四年度から常勤職員配置の改善などを図る。」としており、これに基づき、常勤職員配置の改善などを図りながら、早期に必要な受皿を整備できるよう引き続き取り組んでまいりたい。

二について

 御指摘の「詰め込み学童」及び「基準の見直し」の意味するところが必ずしも明らかではないが、児童福祉法第三十四条の八の二第一項及び第二項の規定により、市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、放課後児童クラブの設備及び運営について、放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準(平成二十六年厚生労働省令第六十三号。以下「設備運営基準」という。)を参酌して、条例で基準を定めなければならないこととされており、放課後児童クラブの児童一人当たりのスペースの確保及び支援の単位については、国としては、児童の健全な育成を図る観点から、設備運営基準第九条第二項において、専用区画(同条第一項に規定する専用区画をいう。)の面積は、児童一人につきおおむね一・六五平方メートル以上でなければならないこと、及び設備運営基準第十条第四項において、一の支援の単位を構成する児童の数を、おおむね四十人以下とすることを定めているところであり、これらを参酌して、市町村において地域の実情に応じて、個別具体的に判断されるべきものである。

三について

 お尋ねの「職員」の具体的に指し示す範囲が明らかではないが、設備運営基準第十条第一項に規定する放課後児童支援員及び同条第二項に規定する補助員(以下「放課後児童支援員等」という。)の処遇改善を図るため、政府では、「放課後児童健全育成事業実施要綱」(令和五年四月十二日付けこ成環第五号こども家庭庁成育局長通知別紙)別添六に基づく放課後児童支援員等処遇改善等事業、同要綱別添十二に基づく放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業及び同要綱別添十三に基づく放課後児童支援員等処遇改善事業(月額九千円相当賃金改善)を通じてこれまで累次にわたり放課後児童支援員等の処遇改善に要する費用の補助に取り組んできているところである。また、一についてでお答えしたとおり、こども未来戦略に基づき常勤職員配置の改善を図ってまいりたい。

四について

 御指摘の「保護者負担」及び「親の負担軽減」の具体的に意味するところが明らかではないが、御指摘の「多様な主体が連携」している地域の事例について、平成三十年度厚生労働省委託事業「児童館等における遊びのプログラム等の全国的な普及を図るための調査研究」において作成された「児童館等における遊びのプログラム実践マニュアル」やこども家庭庁が作成した「放課後児童クラブの長期休業期間等における食事提供事例集」において周知を図っているところであり、引き続き、必要な情報提供等の支援を行ってまいりたい。