質問主意書

第212回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一二第一二三号
  令和五年十二月二十六日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員小西洋之君提出薬価改定を含む医薬品の諸問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小西洋之君提出薬価改定を含む医薬品の諸問題に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねについては、令和五年十一月十六日の参議院厚生労働委員会において、武見厚生労働大臣が「この後発品の産業、少量多品目生産といった構造的な問題がございます。非効率的な製造が行われておりますので、まず、後発品の医薬品メーカーの薬機法違反を契機とした供給量の低下、これは非常に難しい問題でございました。それから、感染症の拡大等による需要の増加も相まって、現下のこの医薬品の供給不足の事態が生じていると認識しております」と答弁したとおりである。

二について

 御指摘の「毎年の薬価の引下げ」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではなく、また、御指摘の「医薬品の安定的な供給を阻害する」事態については、一についてで述べているとおり、後発医薬品製造業における構造的な課題、後発医薬品の製造販売業者における法令違反を契機とした供給量の減少及び感染症の拡大等による需要の増加が相まって生じているものと考えており、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。

三について

 御指摘の「二〇二四年度薬価改定において、医薬品の安定的な供給確保に向けた薬価上の措置」については、「令和六年度薬価制度改革の骨子」(令和五年十二月二十日中央社会保険医療協議会了解)において、例えば、「企業指標の導入及び評価」について「安定供給が確保できる企業を可視化し、当該企業の品目を医療現場で選定しやすくなるよう・・・企業の安定供給体制等を評価し、評価結果を・・・薬価制度において活用する」、「基礎的医薬品」について「収載からの経過期間に関する要件について、二十五年から十五年に短縮する」、「不採算品再算定」について「急激な原材料費の高騰、安定供給問題に対応するため、企業から希望のあった品目を対象に特例的に適用する。適用に当たっては、(中略)前回の令和四年度薬価調査における全品目の平均乖離率である「七・〇パーセント」を超えた乖離率であった品目は対象外とする」等とされたところであり、これらを踏まえ、同改定を行うこととしている。

四について

 お尋ねの「毎年薬価改定の在り方」の検討については、「令和六年度薬価制度改革の骨子」において、「診療報酬改定がない年の薬価改定の在り方については、引き続き検討することとし、令和六年度速やかに議論を開始すること」とされているところであり、政府としては、これに基づき、令和六年度以降必要な検討を行ってまいりたい。

五の前段について

 お尋ねの「医薬品産業における賃金の状況及び人材流出の状況」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、例えば、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、「医薬品製造業」を含む「化学工業」及び「医薬品卸売業」を含む「その他の卸売業」における令和四年六月の「きまって支給する現金給与額」は、それぞれ四十一万千三百円及び三十六万千九百円と、令和三年の「年間賞与その他特別給与額」は、それぞれ百五十万千円及び百十六万千七百円となっており、また、同省の「雇用動向調査」によると、「医薬品製造業」を含む「化学工業、石油製品・石炭製品製造業」及び「医薬品卸売業」を含む「卸売業」における令和四年の「入職者数」は、それぞれ二万五千人及び二十四万七千百人と、同年の「離職者数」は、それぞれ三万四千六百人及び二十五万千八百人となっている。

五の後段について

 御指摘の「毎年の薬価の引下げ」の具体的に指し示す範囲が明らかではなく、また、医薬品産業における人材育成や賃上げについては、様々な要因を踏まえて行われるものであることから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。

六について

 御指摘の「医薬品産業」についても、他の産業と同様に、必要な人材を確保する観点から、賃上げを行うことは必要であると考えている。なお、「医薬品産業」における賃上げを図るためには、事業者による生産性の向上や海外市場の開拓等を通じた収益性の向上などが重要であると考えている。

七及び八について

 御指摘の「薬価を含む医薬品に関する施策を整合的に形成するための対応」の意味するところが必ずしも明らかではないが、医薬品に関するそれぞれの問題への対応に関する事務を所掌する関係府省庁内の関係部署が、当該問題の内容に応じて相互に連携して適切に対応しているところであり、「政府内の各部署が医薬品の問題にそれぞれ別個に対応している」との御指摘は当たらない。