質問主意書

第212回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一二第八二号
  令和五年十二月十九日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員山本太郎君提出岸田内閣の金融所得課税及び所得倍増計画に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本太郎君提出岸田内閣の金融所得課税及び所得倍増計画に関する質問に対する答弁書

一の1及び4について

 お尋ねについては、令和五年二月二十八日の衆議院予算委員会において、岸田内閣総理大臣が「いわゆる一億円の壁と呼ばれる問題については、税負担の公平性を確保する観点から、市場への影響も踏まえ総合的な検討を行うということにし、与党税制調査会で議論を続けてもらっていたということでありますが、令和五年度税制改正において、一億円を超える所得の実態等も踏まえつつ、極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置を導入することとしたところであり、これによって税負担の公平性の確保に向けて一定の対応は図られたものだと認識をしています。しかし、こうした問題については引き続き取組を続けていかなければならないと認識をしています。」と答弁したとおりであり、今後の金融所得課税の在り方については、令和五年度税制改正において創設された、令和七年分以後の所得税について適用することとされている「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置」の効果を見極めるとともに、他の所得に対する課税とのバランスや、金融所得に係る税負担の増加が経済や市場にどのような影響を与えるかなども勘案しながら検討していく必要があると考えている。

一の2について

 お尋ねについては、令和五年二月十七日の衆議院財務金融委員会において、住澤財務省主税局長(当時)が「今回の措置があった場合に高所得者層がどういう行動をしていたか、こういったことが見込み難いこと、また、納税者ごとに所得の組合せも異なりますので、今回の措置の対象となる納税者の正確な範囲が既存のデータからは明らかでないことから、正確にお答えすることは困難である」と答弁したとおりである。

一の3について

 令和五年度税制改正で創設された、「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置」については、令和五年二月九日の衆議院本会議において、鈴木財務大臣が「現下の所得税、社会保険料の負担率について見ると、所得金額が一億円を下回る所得層の多くがおおむね二十パーセント前後となっており、また、一億円を超えたあたりの所得層は負担率がそこまで大きく低下していない一方、かなりの高所得者層の負担率の低下が著しい状況にあります。このような負担率の状況等を踏まえ、与党税制調査会において幅広い観点から御議論いただき、税負担の公平性を確保する観点から、おおむね三十億円を超える高い所得を対象として追加的な税負担が生じるような制度設計となっております。」と答弁したとおりである。

二について

 お尋ねの「所得倍増」については、御指摘の「給与所得」のみの倍増を企図したものではなく、令和五年五月二十六日の参議院予算委員会において、岸田内閣総理大臣が「令和版所得倍増、これは、しっかりとした成長を実現した上で、成長の果実を広く国民一人一人に分配することで所得の向上につなげていく、こうした方向性について強い意思を示したものであります」と答弁したとおりである。お尋ねの「いつの時期までの倍増を目指すものなのか」等の目標は設定していないが、現下の状況の中であらゆる政策を総動員することとしている。