質問主意書

第212回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一二第六〇号
  令和五年十二月一日
内閣総理大臣臨時代理        
国務大臣 松野 博一


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員福島みずほ君提出日本の朝鮮植民地時代の民間徴用者の遺骨問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島みずほ君提出日本の朝鮮植民地時代の民間徴用者の遺骨問題に関する質問に対する答弁書

一の1について

 御指摘の「この遺骨問題が韓国国内で問題になっていること」及び「両国間にある未解決事案であること」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「長生炭鉱の水没事故」で亡くなられた旧朝鮮半島出身労働者の遺骨は、いまだ発掘されず、遺族に対し返還されていないと認識している。

一の2及び5について

 御指摘の「政府間の交渉を踏まえても、人道上からも放置できない」及び「これらの視点」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成十七年五月の朝鮮半島出身旧軍人・軍属及び旧民間徴用者等の遺骨の問題に関する日韓協議において、双方は、旧朝鮮半島出身労働者等の遺骨の問題に対しては、人道主義、現実主義及び未来志向の三つの原則に基づいて取り組んでいくことで合意しており、政府として当該合意に基づく取組を総合的に検討しているが、御指摘の「長生炭鉱の遺骨」は海底に水没している状態であると認識しており、その遺骨の埋没位置、深度等が明らかではないため、現時点では、御指摘の「遺骨発掘」を実施することは困難であると考えている。

一の3及び4について

 韓国内での同国政府発出の文書について、政府としてお答えする立場にないが、いずれにせよ、外交上の個別のやり取りの詳細について明らかにすることは、相手国との関係もあり差し控えたい。

二について

 御指摘の「「遺骨発掘の可能性を探るための調査・派遣」のために同予算を使うこと」、「「遺骨発掘の可能性を探るための調査・派遣」を来年度以降、新たな予算として別に計上すること」、「長生炭鉱の遺骨問題に限って、人道調査室に必要な権限を与えること」及び「責任ある部署が新たに設置されるべき」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、御指摘の「目に見えない海底坑道の中にある遺骨」については、一の2及び5についてでお答えしたとおり、政府として総合的に検討しているが、現時点では、その遺骨の調査のための予算の執行及び新たな予算の計上は困難であると考えており、他方、国内に存在する旧朝鮮半島出身労働者等の遺骨について、遺族がその返還を希望するものについては、可能な限り遺族に対し返還することが望ましいものと考えており、韓国政府との合意及び協議を踏まえ、引き続き、人道的観点から、旧朝鮮半島出身労働者等の遺骨の問題に対応することとしている。