質問主意書

第212回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一二第五七号
  令和五年十二月一日
内閣総理大臣臨時代理        
国務大臣 松野 博一


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員塩村あやか君提出身体障害者福祉法第十五条に定める指定医師に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員塩村あやか君提出身体障害者福祉法第十五条に定める指定医師に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「指定医師として指定され続けている事例」の意味するところが必ずしも明らかではないが、身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)第十五条第一項に規定する医師(以下「身体障害者指定医」という。)の指定に係る事務は、都道府県知事(指定都市又は中核市においては、指定都市又は中核市の市長。以下同じ。)が地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第八項に規定する自治事務として実施するものであり、都道府県知事において適切に処理されているものと考えているところ、当該指定に係る事務の詳細については把握していない。

二について

 御指摘の「障害に対する理解や知識が更新されていない者」及び「そうした指定医師の専門性」の意味するところが必ずしも明らかではないが、身体障害者指定医の指定は、「身体障害者手帳に係る交付手続き及び医師の指定に関する取扱いについて」(平成二十一年十二月二十四日付け障発一二二四第三号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)において、「障害の種別ごと」の「医療に関係のある診療科名を標榜している病院又は診療所において診療に従事し、かつ、その診断に関する相当の学識経験を有する医師について行うものとする」としており、一般的には、当該病院又は診療所において継続的に診療に従事することにより、身体障害者指定医の専門性は確保されるものと考えている。このほか、都道府県(指定都市及び中核市を含む。)においては、身体障害者指定医に対して障害認定に係る研修の実施や診断書の作成方法等を記載した手引きの周知など様々な取組が行われているものと承知している。

 また、身体障害者福祉法施行令(昭和二十五年政令第七十八号)第三条第三項の規定により、身体障害者指定医について、その職務を行わせることが不適当であると認められる事由が生じたときは、都道府県知事は、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第七条第一項に規定する地方社会福祉審議会の意見を聴いて、その指定を取り消すことができることとしており、都道府県知事において適切に当該取消し等の対応がなされているものと考えている。

三について

 精神保健指定医(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)第十八条第一項に規定する精神保健指定医をいう。)については、同法第二十九条第一項の規定に基づく措置入院等の特に患者の人権上適切な配慮を要する精神科医療に従事する医師として必要な資質を備えている必要があることから、同法第十九条の規定に基づき、一定期間ごとに精神障害者の医療や人権に関する法令等についての研修を行う制度を特別に設けているところ、身体障害者指定医については、二についてでお答えした仕組みや取組により必要な専門性が確保されるものと考えており、御指摘の「定期的に研修の受講を義務付けること」については考えていない。