質問主意書

第212回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一二第三二号
  令和五年十一月十日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員神谷宗幣君提出尖閣諸島における我が国の施政に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出尖閣諸島における我が国の施政に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねについては、これまで政府としては、国際会議等の場や在外公館において我が国の領土・主権に関する事実や我が国の立場について発信するとともに、外国報道機関により事実誤認に基づく報道が行われた場合には在外公館や外務本省から速やかに申入れや反論の投稿を実施しているほか、外務本省や在外公館のウェブサイト等による情報発信に努めてきたところであり、引き続き、国際社会において我が国の立場等が正確に理解されるよう積極的かつ戦略的に対外発信に取り組んでまいりたい。また、政府としては、我が国の立場等に関する正確な理解を国内外に浸透させていくための発信拠点として、平成三十年一月に領土・主権展示館を開館し、展示面積の拡大や展示内容の充実等を図るため、令和二年一月に東京都千代田区霞が関の虎の門三井ビルディングに移転し、これまで累計で約五万人が来館したところである。同館を発信拠点として、引き続き周知・広報に努めてまいりたい。

二について

 前段のお尋ねについては、御指摘の「中長期的戦略」の存否やその具体的な内容を明らかにすることにより、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。また、後段のお尋ねについては、御指摘の「中国の「実効支配」のアリバイ作りを狙った行動に対して、これを断念させて主権喪失の脅威をなくさせる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、今後とも、関係省庁が連携し、情勢に応じ、必要な警備等を引き続き厳正かつ適切に実施していく考えである。

三について

 お尋ねの「外国漁船や通過船舶の操業や航行の安全も含めて島嶼と領海、周辺海域の安全確保のための措置を取るべきと思うが、今後、こうした点を踏まえていかなる措置を取っていく計画があるのか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、尖閣諸島及び周辺海域の平穏かつ安定的な維持及び管理のための措置に関する計画について、その存否や具体的な内容を明らかにすることは、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。

四について

 お尋ねの「重要土地利用規制法で定義された機能阻害行為が生じる懸念があるのではないか」については、尖閣諸島はそのほとんどが国有地であって、民有地である久場島並びに久場島周辺の北西小島、北小島及び北東小島も国が借り上げて利用しており、政府としては、何者かによって土地が機能阻害行為の用に供されることがないように管理している。

 また、お尋ねの「過去における外国人による尖閣諸島への不法な上陸行為」については、それぞれ平成八年十月七日、平成十六年三月二十四日及び平成二十四年八月十五日に、尖閣諸島周辺海域において、外国人が我が国の領海に侵入し、尖閣諸島に上陸したときは、政府としては、我が国の関係法令に従って当該外国人を本邦から退去させるとともに、外交ルートを通じて、外国政府等に対し抗議を行った。

五について

 お尋ねについては、米国政府は、尖閣諸島に関する我が国の立場を十分理解し、尖閣諸島をめぐる情勢について、我が国の側に立って、緊密に連携していくとの立場であると理解している。

六について

 尖閣諸島における自然環境については、環境省において、人工衛星の画像を使用した調査等を実施し、必要な情報を収集している。政府としては、今後とも、必要に応じ、御指摘の「尖閣諸島の貴重な生態系維持」のために、尖閣諸島における自然環境に関する情報収集を行っていく考えである。

七について

 政府としては、尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持及び管理のため、原則として政府関係者を除き何人も尖閣諸島への上陸を認めないとの方針を採っている。その上で、御指摘の「石垣市による上陸調査」の内容が明らかではないことから、お尋ねについてお答えすることは困難である。