質問主意書

第212回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一二第一八号
  令和五年十月三十一日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員辻元清美君提出ライドシェアをめぐる世界各国の犯罪事案等と禁止・規制事例に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員辻元清美君提出ライドシェアをめぐる世界各国の犯罪事案等と禁止・規制事例に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用自動車の運転者のみが運送責任を負う形態の有償の旅客運送についてお答えすれば、お尋ねの「世界各国で、ライドシェアの利用に関連して発生した、暴行・傷害・殺人・強盗などの利用者が被害にあった犯罪行為についてどのような実態があるか」及び「世界各国で、ライドシェアの利用に関連して発生した、暴行・傷害・殺人・強盗などのライドシェアドライバーが被害にあった犯罪行為についてどのような実態があるか」については把握していない。なお、政府として現時点で把握している限りでは、令和五年三月二十二日の衆議院国土交通委員会において、堀内国土交通省自動車局長(当時)が「日本のタクシーと米国の主要ライドシェア企業の比較として、輸送回数では、日本のタクシー約五・六億回、米国主要ライドシェア企業が約六・五億回と、おおむね似たような数字となっておりますが、例えば、令和二年における交通事故死者数につきましては、日本のタクシーで十六人、米国の主要ライドシェア企業では四十二人、身体的暴行による死者数につきましては、日本のタクシーにおいてはゼロ、それに対し、米国の主要ライドシェア企業では十一名、性的暴行件数につきましては、日本のタクシーでは十九件、米国ライドシェア企業におきましては九百九十八件となっております」と答弁したとおりである。

三の1について

 お尋ねの「「ライドシェアに関する注意喚起」」については、例えば、在ボストン日本国総領事館が作成する「安全の手引き」において記載があるところ、当該記載の内容をお示しすると、次のとおりである。

 「車に乗る前に必ず車種、塗色、ナンバープレートが合致するか確認する。

 必要であれば運転手に名前を尋ねて一致するか確認する。

 友人や知人に目的地や到着時間を共有しておく。

 ライドシェアのアプリによっては、乗車しているライドシェアのリアルタイムの走行経路を第三者と共有する機能があるので、活用する。

 頼んでいない車や、事前に受けた情報と合致しない車には絶対に乗り込まない。

 トラブルが発生した場合は、すぐに「911」に通報する。」

三の2について

 お尋ねについては、御指摘のとおりである。

四について

 お尋ねの「OECD加盟国でライドシェアを禁止していない国」については、政府として現時点で把握している限りでは、米国において一部の地域で禁止されておらず、お尋ねの「割合」については、把握していない。

五について

 お尋ねについては、把握していない。

六について

 お尋ねについては、現時点においても、令和五年四月二十日の参議院国土交通委員会における森屋隆委員の質疑に対する斉藤国土交通大臣の答弁において述べているとおりである。

七について

 お尋ねについては、現時点においても、令和五年四月二十日の参議院国土交通委員会における森屋隆委員の質疑に対する堀内国土交通省自動車局長(当時)の答弁において述べているとおりである。

八について

 御指摘の「国土交通省がまとめた対策」については、平成二十八年一月十五日に長野県北佐久郡軽井沢町の国道十八号碓氷バイパス入山峠付近において発生した貸切バスの事故を踏まえ、同年六月三日に「軽井沢スキーバス事故対策検討委員会」がとりまとめた「安全・安心な貸切バスの運行を実現するための総合的な対策」を指すものと思われるが、当該対策は、貸切バス事業を念頭に置いたものであり、「タクシー事業」を対象としたものではない。