質問主意書

第212回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一二第七号
  令和五年十月三十一日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員神谷宗幣君提出XBB対応型ワクチンの接種開始と診療録等の保存に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出XBB対応型ワクチンの接種開始と診療録等の保存に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「新型コロナワクチン接種に係る行政記録や診療録の保存期間の延長をすること」は、現時点では検討していない。

二について

 御指摘の「地方自治体が予防接種台帳の保存期間に関する対応を行っているか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に市町村における予防接種台帳の保存期間の延長を行っているかについてのお尋ねであれば、政府として把握していない。また、御指摘の「予防接種台帳の保存期間」については、「「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」の改訂について」(令和五年九月二十日付け感発〇九二〇第一号厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長通知)の別添「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(十九版)」において、「新型コロナワクチンの接種の対象者について、・・・予防接種台帳を作成し、・・・少なくとも五年間は適正に管理・保存すること」と市町村に対して周知しているところであり、これに加えて、御指摘の「予防接種台帳の保存期間延長が可能であることについて周知する予定」は、現時点ではない。

三について

 お尋ねの「疾病・障害認定審査会の平均審査期間の推移」については、調査に時間を要するため、お答えすることは困難であるが、御指摘の「予防接種健康被害救済制度の申請」が市町村から都道府県を経由して厚生労働省に進達され、厚生労働大臣が認定を行うまでの期間について言えば、令和五年三月十六日の衆議院内閣委員会、厚生労働委員会連合審査会において、加藤厚生労働大臣(当時)が「市町村から国に上がってきて、実際、結論が出るまでについて、大半、半年から一年程度の期間を要しております」と答弁しているところである。また、お尋ねの「同審査会の人員体制」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、疾病・障害認定審査会感染症・予防接種審査分科会(以下「分科会」という。)に属する委員の数は、御指摘の「新型コロナワクチン接種開始前」における直近の第百四十回分科会が開催された令和三年二月五日時点で二十四名であり、第百六十四回分科会が開催された令和五年十月十六日時点で二十四名である。これに加えて、新型コロナウイルス感染症に関する「予防接種健康被害救済制度の申請」に対する審査の迅速化を目的に、新たに分科会に同年一月に新型コロナウイルス感染症予防接種健康被害審査第一部会(以下「第一部会」という。)及び新型コロナウイルス感染症予防接種健康被害審査第二部会(以下「第二部会」という。)を、同年六月に新型コロナウイルス感染症予防接種健康被害審査第三部会(以下「第三部会」という。)を設けたところであり、第一部会に属する委員の数は、直近の第十回第一部会が開催された同年十月六日時点で九名であり、第二部会に属する委員の数は、直近の第九回第二部会が開催された同年九月二十七日時点で九名であり、第三部会に属する委員の数は、直近の第五回第三部会が開催された同年十月二十三日時点で九名である。

四について

 お尋ねの「過去五年間の保健福祉相談員の人員体制」については、厚生労働省から予防接種健康被害者保健福祉相談事業を委託している公益財団法人予防接種リサーチセンターに確認したところによれば、令和元年度末時点で五十五名、令和二年度末時点で五十七名、令和三年度末時点で五十六名、令和四年度末時点で五十八名、令和五年九月末時点で五十三名である。なお、御指摘の「予防接種健康被害救済制度の申請にあたって、相談に応じる」ことについては、市町村の窓口等において行われているところ、同省において市町村に対し、コールセンター又は相談窓口の設置等により相談体制の構築を進めるよう周知しているところである。

五について

 予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)に基づく健康被害救済制度については、従来から、厚生労働省のホームページや、接種を受ける方に配布するリーフレット等の様々な媒体を通じて、広く周知を図ってきたところであるが、令和二年一月二十七日に開催された御指摘の「第三十七回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会の資料」に記載の「認定を受けた者のうち、健康被害救済制度の申請に当たって、制度の認知・理解や書類の準備等に苦労したと感じた者が相当程度存在した」こと等も踏まえつつ、新型コロナウイルス感染症への対応として、同省において、「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引きについて」(令和二年十二月十七日付け健発一二一七第四号厚生労働省健康局長通知)の別添「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(初版)」を作成し、その中で当該制度の趣旨や手続の流れ等について詳細に記載し、当該制度の申請の窓口である市町村に対して周知したところである。予防接種後に健康被害を受けた方々が、当該制度に基づく救済の申請を円滑に行っていただけるよう、今後とも、自治体や医療機関と緊密に連携しながら、より一層の周知に取り組んでまいりたい。