質問主意書

第212回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一二第一号
  令和五年十月三十一日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員神谷宗幣君提出我が国の排他的経済水域への中国による浮遊式障害物の設置に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出我が国の排他的経済水域への中国による浮遊式障害物の設置に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「二〇一六年、二〇一八年」に中華人民共和国(以下「中国」という。)が設置したと考えられる「浮遊式障害物」とは、海上保安庁が我が国の排他的経済水域内にその存在を確認したブイのことを指すと思われるが、当該ブイの存在を確認した後、同庁は、それぞれ平成二十八年八月十九日及び平成三十年十月一日に船舶に対して航行警報を発し、注意喚起を行うとともに、外務省において、外交ルートを通じて中国政府に対し抗議し、当該ブイの即時撤去を求めた。これに対する中国政府の反応について明らかにすることは、相手国との今後の外交上のやり取りに支障を来すおそれがあることから、差し控えたい。また、御指摘の「二〇一三年」に中国が設置したと考えられる「浮遊式障害物」とは、同庁が我が国の排他的経済水域外にその存在を確認したブイのことを指すと思われるが、当該ブイの存在を確認した後、同庁は、平成二十五年二月十九日に船舶に対して航行警報を発し、注意喚起を行った。

二について

 前段のお尋ねについては、令和五年七月に海上保安庁が我が国の排他的経済水域内において存在を確認した中国が設置したと考えられるブイについて、外務省において、外交ルートを通じて中国政府に対し抗議し、即時撤去を求めたことは、同年九月十九日の松野内閣官房長官の記者会見において初めて対外的に公表したものである。また、後段のお尋ねについては、同年七月十五日から現在に至るまで、同庁が船舶に対して航行警報を発し、注意喚起を行っている。

三について

 御指摘の「浮遊式障害物」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、我が国の情報収集能力等を明らかにするおそれがあることから、お尋ねについてお答えすることは差し控えたいが、仮に海上保安庁が御指摘の「尖閣諸島周辺の我が国の排他的経済水域内」において船舶の航行に影響がある物体の存在を確認した場合には、船舶に対して航行警報を発し、注意喚起を行うこととしている。

四について

 御指摘の「我が国の排他的経済水域あるいは領海内に不法に設置された海洋浮遊式障害物等、漁業の安全操業や船舶の安全航行の妨げとなるとともに、我が国の有する権限、権益、主権と領土を損なう構築・設置物」の意味するところが必ずしも明らかではないが、海上保安庁が我が国の排他的経済水域内又は領海内において船舶の航行に影響がある物体の存在を確認したときは、船舶に対して航行警報を発し、注意喚起を行うとともに、外務省において、当該物体を設置した国に対し、外交ルートを通じて即時撤去を求めてきている。また、御指摘の「政府による撤去」に関する考え方を明らかにすることは、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。