質問主意書

第212回国会(臨時会)

質問主意書

質問第一三四号

災害時の業務継続計画に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年十二月十三日

牧山 ひろえ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   災害時の業務継続計画に関する質問主意書

 災害時に行政や企業がその機能を停止することなく、業務を継続するために業務継続計画(以下「BCP」という。)を作成し、それに基づいて行動できることが大切であると考える。一方、本年六月の帝国データバンクの調査を見ると、民間企業での取組はわずかに前進するのみで、大企業では三十五・五%、中小企業ではわずか十五・三%が作成しているに過ぎない。

 企業がBCPを作成していない理由は、作成に必要なノウハウやスキルがないというものが四割を占め、作成する人材を確保できていないことや、作成する時間を確保できないことも、その原因として挙げられている。

 長期間、企業が活動を停止することは、その分、経済被害が拡大することにもつながると思われる。国として、企業が防災に対してしっかり意識改革をして自ら進んで取り組めるよう、企業のBCP作成を一層サポートしていくべきであると考える。

一 スキルやノウハウが不足しているということであれば、国が民間企業をBCP作成についてサポートできる体制作りを進めて行くべきではないかと思われるが、政府の見解を示されたい。

二 BCPに基づく施設整備を行う事業者に融資を行っていることについて

1 BCPを作成していない理由として、大企業よりも中小企業の方が必要性を感じないという意識や、BCPの作成費用が確保できないとする意識が強く出ているとされている。一方、国は、自ら策定したBCPに基づき、防災に資する施設等の整備を行う事業者に、日本政策金融公庫で社会環境対応施設整備資金を融資していると伺っているが、こうした融資について企業に周知徹底されているのか、制度の利用状況と周知状況について伺う。

2 このほか、国から企業へのBCPのサポート体制として、どのような取組を行っているか。また、制度があってもそれらが知られておらず、企業の対策が進んでいないことがないかどうか、今一度チェックすべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 病院の浸水対策(災害時業務継続計画の策定)について

 近年、気候変動の影響もあり災害が激甚化、頻発化しており、全国各地で河川の氾濫による浸水被害が発生している。今年七月には、秋田市の総合病院が大雨の影響で浸水し、救急も含めて全ての診療が中止され、入院患者搬送のため自衛隊に災害派遣要請を行う事態に発展した。水害に対する備えは全国の病院で喫緊の課題である。

 厚労省の研究班の調査によると、全国の災害拠点病院のうち三割近くの病院が洪水浸水想定区域内に立地していることが判明した。厚労省は、止水板の設置等への財政支援、災害拠点病院の指定要件の見直し等の取組を既に行っていると承知している。

 災害等が発生したときに、病院等が損害を最小限に抑え、医療・介護機能の存続や早期の復旧を図るために重要なのがBCPである。特に浸水被害に関しては、気象予報等に基づき、被害発生までに一定の時間が確保できることが想定されることから、被害軽減対応を行うことが可能とも考えられ、綿密な計画を立てておくことが望まれる。しかし、災害拠点病院以外のBCP作成は義務化されておらず、そもそも全ての病院が災害に対する知見等を備えているわけでもない。

 これらの問題点を踏まえ、厚労省は、研究の成果をもとに、今後どのようなBCP策定支援を行うつもりか伺う。

  右質問する。