質問主意書

第212回国会(臨時会)

質問主意書

質問第一二八号

次元の異なる少子化対策のうち、「児童手当」に係る諸課題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年十二月十三日

牧山 ひろえ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   次元の異なる少子化対策のうち、「児童手当」に係る諸課題に関する質問主意書

 児童手当に関する制度変更は、政府が唱える「次元の異なる少子化対策」において、大きな位置付けを占めるものであり、それだけに適切な制度設計と運営方針が必要である。

一 扶養控除縮小の問題

 政府の提案する児童手当の拡充策では、多くの子育て世帯にとって恩恵が乏しいばかりか、児童手当の支給を高校卒業まで延長することに伴い、中学生以下との整合性を取るため、これまで高校生のいる世帯に適用されていた扶養控除を縮小する方向で検討が進められている。扶養控除の縮小は、ただでさえ経済的負担の大きい子育て世帯を狙い撃ちする増税であり、子育て支援・少子化対策に逆行し、政治によって少子化を一層促進しかねない極めて不適当な対応ではないか。扶養控除を縮小した場合の子育て世帯に対する負担の増加について、どのようにお考えか政府の見解を伺う。

二 児童手当の拡充策の支給開始時期の遅さと四万円定額減税の説明ぶりの問題

 児童手当の拡充策については、内容面で十分とは言い難いだけでなく、支給開始時期の遅さも問題である。当初の令和七年二月の支給開始ではあまりに遅すぎると批判を浴びて、十一月二日に閣議決定された今般の経済対策において、児童手当の支払月を年三回から隔月の年六回とする法改正を併せて行うことで、拡充後の支給開始を令和六年十二月に前倒すこととされた。それでも、本年一月に次元の異なる少子化対策を行うと総理が表明してから二年も費やすこととなり、政府の対応の遅さは目に余る。

1 これらの批判に対し岸田総理は、来年六月から行うとされる四万円の定額減税について、「実質的に児童手当の抜本的拡充を更に前倒しする効果がある」と説明されているが、目的も手段も規模も全く異なる四万円の定額減税を児童手当拡充の前倒し効果があるなどと説明することには無理があるのではないか。前倒し効果に関する客観的な証憑を示されたい。

2 また、そのように説明を行うということは、総理として児童手当拡充の前倒しの必要性を認識されているということか。

3 仮にそうであるのならば、正面から更なる支給時期の前倒しを指示してはいかがか。

  右質問する。