質問主意書

第212回国会(臨時会)

質問主意書

質問第九一号

インターネット上のアウティング及び包括的差別禁止法の必要性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年十二月十二日

田島 麻衣子


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   インターネット上のアウティング及び包括的差別禁止法の必要性に関する質問主意書

 被差別部落の地名をインターネット上で暴露する人権侵害が後を絶たず、社会問題化している。こうした人権侵害は、岸田政権が掲げる「全ての人が生きがいを感じられる包摂社会の実現」の理念にも相反し、許されるものではないと考える。このような問題意識の下、以下質問する。

一 二〇二三年六月に東京高裁は「差別されない人格的利益」を認める判決を出した。これは憲法第十三条(幸福追求権)及び第十四条(法の下の平等)を根拠に、「人は誰しも不当な差別を受けない人格的利益を有する」と判断したものである。政府は同様に、被差別部落の出身を理由に「差別されない権利」が、憲法第十三条及び第十四条により導き出されると考えるか。

二 政府は、特定の地区を被差別部落とネット上やSNSで示す行為に違法性があると考えるか。また、違法性が認められるための要件は何か示されたい。

三 過去五年間で行われた、特定の地区を被差別部落とネット上で示したサイトに対する削除要請の件数及びその要請に応じて事業者がサイトを削除した件数を示されたい。

四 前記三について、削除要請に応じた件数が少ない場合、その理由を政府はどのように分析するか。

五 政府は、社会的少数者に対する差別は許されないという規範を確立する事を目的とした包括的差別禁止法の必要性について、どのように考えるか。

  右質問する。