質問主意書

第212回国会(臨時会)

質問主意書

質問第七八号

政党法人の登記変更において代表者の解任に代表者の記名押印を求めていることに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年十二月五日

浜田 聡


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   政党法人の登記変更において代表者の解任に代表者の記名押印を求めていることに関する質問主意書

 一般に登記による公示の制度は、第三者が不測の損害を被ることを防止して、もって取引の安全を図ることを目的とされている。法人登記は、必ずしも営利を目的とする商人又は会社ではないにしても、当該法人と取引をする第三者を保護する観点から、商業登記と同様に、公示力が認められ、そのほかに公信力、形成力、対抗力等が認められている。また、不実の登記について、最高裁判例によると一般的に公信力が認められ、善意の第三者に対抗できないとされている。

 政党法人の法人登記においては、政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律(以下「政党法人格付与法」という。)において政党法人の登記に関する事項が定められている。このうち第七条の二第二項括弧書きには変更の登記の添付書類として「代表権を有する者の変更があった場合には、他に代表権を有する者があるときは当該変更があったことを証するその者の記名押印した書面とし、他に当該書面を作成することができる代表権を有する者がないときは当該変更があったことを証する代表権を有していた者及び代表権を有するに至った者の記名押印した書面とする。」と定められている(以下「代表者の記名押印した書面」という。)。これは代表者の辞任、解任に関わらず代表者の登記変更の際には代表者の記名押印した書面が必要とされている。このため代表者が一名である政党法人が党規約等に基づき党総会等で代表者を解任した際に、代表者が押印を拒否した場合は代表者の記名押印した書面が添付できないために、当該政党法人の代表者の登記変更が不可能となる事態が発生する(以下「解任された代表者が押印を拒否した事態」という。)。他方、株式会社等の政党法人以外の法人については会社法、商業登記法第四十六条、商業登記規則第六十一条やこれらを準用する法令等により、代表者の記名押印した書面を添付書面としなくとも登記変更が可能である。これらを踏まえて、以下質問する。

一 政党法人において、解任された代表者が押印を拒否した事態が発生した場合、当該政党法人はどのように代表者変更登記をすれば良いか、政府見解を示されたい。

二 前記一において、代表者を解任した場合における登記変更手続きの添付書類を見直す法改正及び法整備が急務であると考えるが、政府見解如何。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。