質問主意書

第212回国会(臨時会)

質問主意書

質問第七三号

法令で国民に支払いが義務化されている拠出金や賦課金等と税金との性格の違いに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年十一月三十日

浜田 聡


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   法令で国民に支払いが義務化されている拠出金や賦課金等と税金との性格の違いに関する質問主意書

 令和五年十一月十三日の参議院行政監視委員会において、法令で国民に対して支払いが義務化されているもので名称に「税」と付されていないもの(以下「拠出金等」という。)が三十九個存在する事を紹介しつつ、徴税するお金の名前に関する課題について質疑した。これに対し、佐藤啓財務大臣政務官は「講学上、税とは、国又は地方公共団体が、特別の給付に対する反対給付としてではなく、公共サービスを提供するための資金を調達する目的で、法律の定めに基づいて私人に課す金銭給付と定義付けられているものと承知しております。(中略)例えば、御指摘のありました子ども・子育て拠出金であれば、特定の事業目的のために連帯して費用を負担し合う仕組みと位置付けられておりまして、税とは性格が異なるものとされていると承知をしております。」と答弁した。一見もっともらしい答弁と考える意見はあるかもしれないが、一方でこのように税と名の付かない国民への強制負担が増えていくことは北朝鮮が採用している手段であり、私は看過しがたい状況であると考える。

 したがって法令で支払いが義務付けられているものは「税」という名称を付すべきとの立場から、これらを踏まえて、以下質問する。

一 拠出金等を具体的に示すと、「子ども・子育て拠出金」以外には、

 「預金保険料」

 「生命保険契約者保護機構、損害保険契約者保護機構における保険契約者保護資金に対する負担金」

 「損害保険料率算出機構に対する負担金」

 「日本投資者保護基金に対する負担金」

 「指定紛争解決機関(金融ADR)に対する負担金」

 「株式会社地域経済活性化支援機構法に基づく拠出金」

 「株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法に基づく拠出金」

 「再生可能エネルギー発電促進賦課金」

 「廃炉円滑化負担金」

 「電気事業法施行規則に基づく賠償負担金」

 「再処理等拠出金」

 「原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施及び廃炉の推進に関する法律に基づく廃炉拠出金」

 「高レベル放射性廃棄物の地層処分に係る拠出金」

 「TRU廃棄物の地層処分に係る拠出金」

 「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づく一般負担金」

 「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づく特別負担金」

 「化石燃料賦課金」

 「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律に基づく特定事業者負担金」

 「(輸入糖に課される)調整金」

 「石綿健康被害救済一般拠出金」

 「石綿健康被害救済特別拠出金」

 「汚染負荷量賦課金」

 「公害健康被害の補償等に関する法律に基づく特定賦課金」

 「ユニバーサルサービス料」

 「郵便局ネットワークの維持の支援のための拠出金」

 「鉄道バリアフリー料金制度」

 「港湾運送事業拠出金」

 「港湾環境整備負担金」

 「東京タクシーセンター等に納付する事業者負担金」

 「私的録音録画補償金」

 「授業目的公衆送信補償金」

 「図書館等公衆送信補償金」

 「年金保険料」

 「医療保険料」

 「介護保険料」

 「雇用保険料」

 「労災保険料」

 「障害者雇用納付金」

が存在する。これらすべてについて、それぞれ税と異なる名称を付された理由を示されたい。

二 前記一で挙げたもの以外に、法令で国民に対して支払いが義務付けられたものはあるか。

三 前記一及び前記二について、それぞれ年間で国民が支払った金額がいくらになるか政府は把握しているか。把握しているものはその金額を示されたい。また、把握していないものがどれか示されたい。

四 前記三について、把握していないものについて政府は把握すべきと考えるが、政府見解如何。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。