質問主意書

第212回国会(臨時会)

質問主意書

質問第七二号

ホストの売掛肩代わり行為が刑事罰つきの違法行為に該当する可能性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年十一月二十九日

浜田 聡


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   ホストの売掛肩代わり行為が刑事罰つきの違法行為に該当する可能性に関する質問主意書

 今国会で、複数の議員が取り上げたように、ホストクラブの高額売掛金が問題となっている。ホストクラブは、おおよそ支払い能力がないと思える客に対しても、客の容姿が良ければ、供応接待(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二条第四項の接待飲食等営業を営む者から提供される接待業務をいう。以下同じ。)役務を提供し、その売掛はホストが立替えるのである。こうして、クレジットカードの与信枠とも、貸金業法の総量規制の枠からも外れた、高額な借金が客の負担となり、その返済は、客が風俗や売春で働いて返すケースも多数報告されているところである。

 ところで、ホストクラブは、客が売掛を支払えない場合に、ホストが立替えた売掛を補填しない。こうすることで、客に「売掛を返済しなければホストに迷惑がかかる」という感情を抱かせ、客のホストに対する恋愛感情と相まって、何が何でも返済させようという動機を客に与えるのである。このような取引形態は、ホストクラブによる自社割賦(「割賦販売法(後払信用)の概要」(令和三年六月経済産業省商務・サービスグループ商取引監督課)中の「自社割賦」をいう。以下同じ。)と観念することができない。つまり、ホストクラブの「ホストが代金を立替える前提の供応接待役務提供」というスキーム(以下このスキームを「本スキーム」という。)は、ホストが客に対して使う「売掛」「青伝票」といった単語からは分かりにくいが、事実上、ホストクラブ・ホスト・客による三者契約が前提となっており、ホストクラブそのものは売掛金を即時に回収している。そして、大抵のホストは、特定のホストクラブからの供応接待役務の購入を条件として、代金に相当する額を当該ホストクラブに交付し、当該額を客から受領する行為を、反復継続して行っているのであり、客とホストの間で、特定のホストクラブからの供応接待役務の購入と関連しない、純粋な金銭消費貸借契約まで締結しないケースが圧倒的多数を占める。そうすると、このホストの行為は、ホストクラブに代金を立替えてから、客から代金の全額を受け取るまでに二か月を超えた場合(二か月を超えることは往々にしてある)、まさに、割賦販売法(以下「法」という。)が規制するところの、個別信用購入あっせんに当たるのではあるまいか。

 右を踏まえて、以下質問する。

一 法第三十五条の三の二の「業とする者」は、個別信用購入あつせんの手数料等、個別信用購入あっせん行為そのものに対して手数料等の金員を取る者に限られるのか。それとも、個別信用購入あっせんそのものからは金員を取らなくとも、単に個別信用購入あっせん行為を反復継続して繰り返しただけで、個別信用購入あっせん行為そのものからは経済的利益を得ていない場合であっても、「業とする者」となることもありえるのか。

二 法第二条第四項は「二月を超えない範囲内においてあらかじめ定められた時期までに受領することを除」いているが、期限を定めなかった場合は、個別信用購入あっせんに当たらないのか。それとも、期限を定めていないが、そのほとんどを客から二か月以上待つことを反復継続した場合等、期限を定めていない場合であっても、個別信用購入あっせんに当たりうる可能性があるのか。

三 令和五年十一月十四日、参議院内閣委員会にて、政府は「悪質なホストクラブにおける御指摘の問題については、先般、国家公安委員長より御答弁のあった風営法のほか、消費者契約法、売春防止法、職業安定法により、違反となり得る行為を含むものと承知をしております」と答弁していたが、この答弁の時点において、政府は、割賦販売法により違反となりうる行為については、認識していなかったのか。

四 ホストクラブ業界が本スキームを止めて、純然たる自社割賦に踏み切った場合、供応接待は割賦販売法の指定役務ではないので、自社割賦の法的規制がないことになる。割賦販売法施行令別表第一の三に、供応接待が含まれないのはなぜか。

 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。