質問主意書

第212回国会(臨時会)

質問主意書

質問第七〇号

原発避難計画策定プロセスの情報公開に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年十一月二十八日

山本 太郎


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   原発避難計画策定プロセスの情報公開に関する質問主意書

一 「道府県原子力防災担当者連絡会議」の議事録を作成しない理由について、令和五年十一月十六日参議院環境委員会において伊藤環境大臣は、①道府県の担当者からの忌憚のない意見を妨げる懸念がある、②行政文書管理ガイドライン上、議事録を残さなければならない会議に該当しないことの二つの理由を挙げたが、二つの理由は性質が異なる。②は作成そのものを禁じる(妨げる)ものではなく、情報公開請求を受けた際に開示を避けるため意図的に作成しないものと解するしかない。茨城・静岡の両県から開示された「道府県原子力防災担当者連絡会議」報告書を読むと、「安定ヨウ素剤を配布する場所、避難経路、避難用車両の確保」など、令和五年十一月十六日参議院環境委員会で伊藤環境大臣も「重要事項」と認めた項目について議論・検討がなされているのは明らかであり、議事録を作成しないことによって重要事項に関する情報公開が妨げられ、原子力防災の改善に支障が生じるものと評価せざるを得ない。今後、道府県連絡会議について発言者名や意見を記した議事録を作成・公表するかどうか改めて見解を明らかにされたい。

二 原発の立地地域ごとに設置されている「地域原子力防災協議会作業部会」の議事録については、令和三年二月二十二日開催の「道府県原子力防災担当者連絡会議」で配付された資料「地域原子力防災協議会作業部会等における配付資料の公開について」によると、反復継続的な情報公開請求が見込まれることを理由に、作業部会の議事概要、議事次第、配付資料を内閣府ホームページ上で公表する方針を示している(現在は実際に内閣府ホームページ上で公表されている)。同じ原子力防災の重要事項について議論・検討する道府県連絡会議は、情報公開請求を受けた際に開示を避けるために議事録を作成しない一方、存在が明文化されている作業部会については「反復継続的な情報公開請求が見込まれる」として請求の有無にかかわらず議事概要を公表するというのは二重基準と解するほかなく、改めて道府県連絡会議の議事録の作成と公表を求めるが、政府の見解を明らかにされたい。

三 なお、「地域原子力防災協議会作業部会」についても、茨城・静岡の両県から開示された「令和二年度第三回道府県原子力防災担当者連絡会議」報告書によると、発言者や意見を記した議事録ではなく、簡略な議事概要の作成にとどめる方針が内閣府から示されている。

 私が作業部会の透明性について質した令和五年四月十九日の参議院東日本大震災復興特別委員会以降に作成されたとみられる作業部会の議事概要はそれ以前の時期の議事概要に比べて、分量が大幅に増加され、発言者の所属組織名も記載されるようになった。この理由は何か。

 従来の議事概要の記載内容が不十分であったと認識しているのであれば、議事概要にとどめる必要はなく、詳細な議事録を作成し、音声記録を残すことに特段の支障はないものと考えられるが、政府の見解を明らかにされたい。

四 茨城・静岡の両県から開示された「令和二年度第三回道府県原子力防災担当者連絡会議」報告書によると、各地の作業部会において「読後廃棄」と印字された資料が配付されている旨が記されている。茨城・静岡の両県に限らず、これまでの地域原子力防災協議会作業部会において「読後廃棄」と印字した資料を配付した事例は何件あるのか。どの地域の作業部会か、開会日時、資料名を全て明らかにされたい。

五 前述したとおり、内閣府ホームページでは作業部会の配付資料が公表されている。こうした「読後廃棄」の資料が存在するとして、ホームページ上で公表したことはあるのか。また作業部会の「読後廃棄」指定付き配付資料を情報公開請求された際に開示したことがあるのか明らかにされたい。

六 どのような配付資料に「読後廃棄」と印字しているのか。また茨城・静岡の両県の「令和二年度第三回道府県原子力防災担当者連絡会議」報告書に記されたとおり、情報公開請求を受けても開示しない資料である旨を会議出席者に共有する意図があるのか説明されたい。

七 ジャーナリスト日野行介氏が東海第二、浜岡、福井の三地域の原子力防災協議会作業部会における「読後廃棄」と印字された配付資料を内閣府に情報公開請求したところ、「作成又は取得しておらず、保有していない」として不開示とされた(内閣府府政原防第九四八号令和五年十月二十五日「行政文書不開示決定通知書」)。

 一方で、静岡県からは内閣府のクレジットが付いた「読後廃棄」指定付き資料が作業部会資料として開示されている(静岡県危機管理部原子力安全対策課令和五年十月十二日開示資料「4.PAZ内の施設敷地緊急事態における対応」)。

 当該資料は内閣府が作成し、浜岡地域原子力防災協議会作業部会で静岡県担当者に配付したものであるのか。その資料について内閣府が「作成又は取得しておらず、保有していない」と回答したのはなぜなのか明らかにされたい。

八 内閣府が作成し作業部会で配付した「読後廃棄」指定資料を情報公開請求時点までに本当に廃棄し保有していない場合、公文書管理法上適切か、政府の見解を示されたい。

 あるいは当該資料を廃棄しておらず保有しているにもかかわらず「保有していない」と不開示決定した場合、情報公開法上適切か、政府の見解を示されたい。

  右質問する。