質問主意書

第212回国会(臨時会)

質問主意書

質問第六二号

生活保護行政の適切な運用に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年十一月二十四日

石垣 のりこ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   生活保護行政の適切な運用に関する質問主意書

 令和五年十一月二十一日、群馬司法書士会は、桐生市が生活保護を受給する五十代の男性に対して一日千円ずつ生活保護費を手渡し、全額支給していなかったとして荒木恵司市長宛てに運用改善を求める要請書を提出した。

 要請書によると、男性は令和五年七月二十六日に生活保護を申請し、月額約七万円と決まり同年八月十八日から受給が始まった。しかし、求職活動を支給の条件とし、ハローワークに行ったことを確認してから、一日千円ずつ窓口で手渡し、月に三万円程度しか支給していなかった。

 同年十月初旬に男性が同会に相談し、同月十二日に同会副会長が同行の上、市を訪ねたところ、市は男性に対して支給していなかった十三万四千百八十円を支払った。

 この件について厚生労働省社会・援護局保護課は東京新聞の取材に対し「約七万円の保護費決定が出ているにもかかわらず、総支給額がそれに届かないのは適切とは言えない。必ずしも一カ月分をまとめて支給しなければいけないわけではないが、あまり聞いたことがない」と答えている。

 金銭管理を適切に行うことが出来ない被保護者に対して、保護費を分割で支給することは自立支援の観点から必要な場合もあるが、日割りで支給するようなことではまとめて食材を購入することも出来ず、余計に生活費がかかり、非常に不適切だと考える。また、毎日求職活動することを生活保護受給の条件にすることも、交通費等が日々かかることなどを考えると生活する上で必ずしも必要でない支出が増え適切ではないと考える。

 今回のような生活保護に関わる地方自治体職員の不適切な対応は桐生市だけのことではないおそれがあることから、保護が必要な方に適切な保護が行われるよう改めて自治体関係者に徹底する必要があると考える。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 被保護者に対して保護費を毎日少額ずつ支給することや支給決定額を全額支払わないことは不適切だと考えるが、政府の見解を伺う。

二 求職活動をすることを生活保護受給の条件とすることは明確に禁止すべきだと考えるが、政府の見解を伺う。

三 他の地方自治体でも桐生市同様の不適切な運用を行っていないか調査すべきだと考えるが、政府の見解を伺う。

四 政府は生活保護の運用に当たって不適切な対応が行われないよう改めて地方自治体に対して通知を発出したり、関係主管課長会議等の機会を通じて、不適切事例を取り上げるなど、保護が必要な方が保護を受けられない事態とならないよう徹底すべきだと考えるが、政府の見解を伺う。

  右質問する。