質問主意書

第212回国会(臨時会)

質問主意書

質問第五四号

体が男性で心は女性の者が公衆浴場の女湯に入浴した場合における政府見解に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年十一月十七日

浜田 聡


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   体が男性で心は女性の者が公衆浴場の女湯に入浴した場合における政府見解に関する質問主意書

 性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(以下「LGBT理解増進法」という。)は令和五年五月十八日に議員立法として衆議院に提出され、同年六月十六日に成立し、同年六月二十三日に施行された。LGBT理解増進法の施行後、公衆浴場やトイレ等をはじめとした、利用者の性別で区別して利用されている場所等に関しての運用がどのように変更になるのか疑問を持つ国民の声が複数寄せられ、中にはLGBT理解増進法が拡大解釈され性犯罪などに悪用されないか等の懸念の声もあった。これを受けて厚生労働省は令和五年六月二十三日に「公衆浴場や旅館業の施設の共同浴室における男女の取扱いについて」という通知文(以下「厚労省通知文」という。)を発出した。これによると、公衆浴場や旅館業の施設の共同浴室について「風紀の観点から混浴禁止を定めている趣旨から、身体的な特徴をもって判断するものであり、浴場業及び旅館業の営業者は、例えば、体は男性、心は女性の者が女湯に入らないようにする必要があるものと考えています」として、厚生労働省が都道府県、保健所設置市及び特別区に対し配慮を求めている。他方、令和五年十一月十三日、三重県桑名市の温泉施設で女性用の浴場に侵入した男性が逮捕されるという報道があった。このように、LGBT理解増進法の拡大解釈により犯罪が起こることは、LGBT理解増進法第一条に定められた目的に反することであり、看過し難いと考える。これらを踏まえて、以下質問する。

一 LGBT理解増進法が施行された後に、心が女性と主張して体が男性の者が女性浴場に侵入し問題となった事例について、政府は実態調査をされたか。実態調査をされた場合は件数等の調査内容の詳細を示されたい。

二 厚労省通知文が発出されてから、各都道府県、保健所設置市及び特別区は具体的にどのような配慮をしたか政府は承知しているか。承知している場合はその内容を示されたい。

三 前記二について、厚労省通知文が発出された後に公衆浴場において前述の問題が起きている事実を踏まえ、政府として何らかの対応をする考えはあるか。

四 一般的に、体が男性で心は女性の者が公衆浴場の女湯に入浴した場合は、その営業者は公衆浴場法第三条第一項違反となるか。またその際、当該営業者は公衆浴場法第七条に基づき、第二条第一項の許可取消し、又は期間を定めて営業停止命令を受ける対象となり得るか。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。