質問主意書

第212回国会(臨時会)

質問主意書

質問第三六号

旧統一教会(宗教法人世界平和統一家庭連合)の解散命令請求の法的根拠等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年十一月二日

小西 洋之


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   旧統一教会(宗教法人世界平和統一家庭連合)の解散命令請求の法的根拠等に関する質問主意書

一 政府において本年の何月何日に旧統一教会の解散命令請求を行ったのかなど、解散命令請求の実施に関する事実関係や講じた手続きについて説明されたい。

二 政府は旧統一教会の解散命令請求を行うに際して、本年十月十二日に「宗教法人世界平和統一家庭連合の解散命令請求について」という表題の文書を公表し、国会議員にも提出している。当該文書の四ページには、「そして、本件対象行為は、民法上の不法行為に該当しており、本件対象行為により発生した被害も甚大であって、「著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる」ことから、法八十一条一項一号の解散命令事由に該当すると認めました。」とあるところ、当該「民法上の不法行為」として政府が認識する民法の条項を具体的に示されたい。当該条項には民法第七百九条や民法第七百十五条が含まれているのか。

三 宗教法人法第八十一条は、「裁判所は、宗教法人について左の各号の一に該当する事由があると認めたときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができる。一 法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。」と定めるところ、この「宗教法人について」、「行為をしたこと」に関する政府の解釈を示されたい。

四 政府が公表した「宗教法人世界平和統一家庭連合の解散命令請求について」という表題の文書の五ページに、「本件宗教法人については、主に、以下の理由から、本件対象行為が、「本件宗教法人について」解散命令の要件に該当する事由があると判断しました。」とあるところ、ここでいう「解散命令の要件に該当する事由がある」との判断の根拠とする法令の条項を具体的に示されたい。当該条項には民法第七百九条や民法第七百十五条が含まれているのか。

五 岸田総理は昨年十月十九日の参議院予算委員会での私の質問に対して、「政府としましては、今後、これらの事実関係を十分分析の上、東京高裁決定に示されている内容を参考に、行為の組織性や悪質性、継続性などが認められ、宗教法人法に定める、法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為又は宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたと考えられる場合には、個別事案に応じて解散命令の請求について判断すべきであると考えております。」と答弁しているところ、この「行為の組織性、悪質性、継続性」は政府が宗教法人法の解散命令請求を行う際の法的な要件と考えているのか、そうである場合は、なぜこれらの事項が法的な要件となるのかについて具体的に説明されたい。

六 政府が旧統一教会に関して行った解散命令請求において、宗教法人法第八十一条第一項第一号の「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。」に該当すると判断している法令の具体的な条項をもれなく示されたい。また、これらの条項は、「宗教法人世界平和統一家庭連合の解散命令請求について」という表題の文書が、解散命令請求の根拠としている法令の条項と一致するということでよいか。

七 一般論として、解散命令請求の制度は信教の自由に関わる制度であると認識するところ、政府が解散命令請求を行う際には、宗教法人法第八十一条との関係でその根拠とする法令の具体的な条項を明らかにするべきと考えるが、この度の旧統一教会の解散命令請求においては、「宗教法人世界平和統一家庭連合の解散命令請求について」という表題の文書などにおいて、なぜそのようにしていないのかについて説明されたい。また、当該文書には、文書の責任者を示すクレジットも日付もないのはなぜか。

八 政府が実施した解散命令請求に関して裁判所に提出した文書の中には、宗教法人法第八十一条との関係でその根拠としている法令の具体的な条項は示されているのか。

九 前記二から八を踏まえて、政府が旧統一教会について、宗教法人法第八十一条第一項に規定する「一 法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。」、「二 第二条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと又は一年以上にわたつてその目的のための行為をしないこと。」に該当し、解散命令請求を実施すると判断した理由について説明されたい。

  右質問する。