質問主意書

第212回国会(臨時会)

質問主意書

質問第二四号

非核三原則の現実的な運用に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年十月二十五日

浜田 聡


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   非核三原則の現実的な運用に関する質問主意書

 日本には一九六七年十二月に当時の佐藤榮作総理が表明した「非核三原則」が存在する。国家安全保障戦略二〇二二の基本方針は「非核三原則を堅持するとの基本方針は今後も変わらない」とされている。他方、二〇一〇年三月十七日に衆議院外務委員会で当時の岡田克也外務大臣(以下「岡田大臣」という。)は「緊急事態ということが発生して、しかし、核の一時的寄港ということを認めないと日本の安全が守れないというような事態がもし発生したとすれば、それはそのときの政権が政権の命運をかけて決断をし、国民の皆さんに説明する、そういうことだと思っております。」と答弁されており、二〇二二年三月七日、参議院予算委員会で岸田総理はこの岡田大臣の見解について「当時の岡田外務大臣の発言でありますが、こうした答弁について岸田内閣においても引き継いでいるというのが立場であります。」と答弁されている(以下「岸田総理答弁」という。)。以上を踏まえて、核の一時的寄港を認めないと日本の安全が守れない事態(以下「日本の安全が守れない事態」という。)が発生した場合について、以下質問する。

一 岸田総理答弁について、この見解は現在の政府においても変わりないか。

二 前記一について、見解が変わりない場合、日本の安全が守れない事態とは具体的にどのような事態を想定しているか政府見解を示されたい。また政府見解が示されない場合、政府見解のとりまとめの必要性があると考えるが如何。

三 日本において日本の安全が守れない事態が発生した場合、日本へ核兵器を持ち込む国は米国を想定しているか。米国を想定している場合、米国はこのことについて承知しているか。承知していない場合、日本の安全が守れない事態が発生した場合はどのように米国に協力要請するのか。

四 前記一について、見解が変わりない場合、国家安全保障戦略二〇二二の基本方針と齟齬が出ないよう、非核三原則の「持ち込ませず」を明文修正すべきと考えるが、政府見解如何。

五 国家安全保障戦略二〇二二には、日本の安全が守れない事態を想定した戦略は策定されているか。策定されている場合、具体的戦略内容を示されたい。策定されていない場合、策定する必要があると考えるが政府見解如何。

六 米国では国防総省において「核態勢の見直し」が策定されている。日本において、日本の安全が守れない事態に核の一時的な寄港が有り得るのであれば、日本においても有事に備えて米国の核戦略の分析及び研究、我が国における核抑止戦略の策定を進めるべきと考えるが、政府見解如何。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。