質問主意書

第212回国会(臨時会)

質問主意書

質問第二二号

児童相談所による児童虐待の相談対応件数の報告等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年十月二十四日

石垣 のりこ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   児童相談所による児童虐待の相談対応件数の報告等に関する質問主意書

 令和五年十月四日の東京新聞に、こども家庭庁が発表した児童相談所の令和四年度児童虐待相談対応件数において、虐待ではない「非該当」のケースも計上していた自治体があり、虐待の統計が長年「水増し」状態になっていたとの記事が掲載された。

 この統計については、総務省が平成二十四年の「児童虐待の防止等に関する政策評価書」において、十都道府県を抜粋し、対応件数を調査した結果、「適切な報告を行っている都道府県等はみられなかった」として、厚生労働省に適切な把握と公表を勧告し、翌年、厚生労働省は記入要領を見直し、参照して報告するよう自治体に求めていたものであった。

 一方、相談対応件数は児童虐待の現状を把握することに加えて、自治体の児童福祉司の職員配置の基準としても使われており、ひとりでも多くの職員を配置したい自治体としては相談件数が多い方が望ましく、それがこのような「水増し」を引き起こす原因となっていると考えられる。

 しかし、現行の相談対応件数の内、虐待に該当したもののみを報告の対象とし、その数が職員配置の基準として使われると、結果として「非該当」の場合でも職員が相応の時間をかけて対応に当たっている場合もあるので、職員の業務の多忙さを反映することにならず、虐待に該当した件数をもって、配置基準とすることは適切ではないと考える。

 また、児童虐待に該当するかどうかの判断は非常に難しい上に、加害者は虐待の事実を隠そうとするものであるので、報告されている以上の件数が実際にはあると考えるべきであり、相談対応件数のうち虐待に該当した数のみに着目して職員配置を割り出してしまうと丁寧な対応が出来なくなり、虐待を見逃すことにつながる可能性がある。

 よって、より正確な虐待件数の把握と、業務量に応じた職員配置とすることを両立させることが必要であると考え、以下質問する。

一 児童虐待の実態を正確に把握するため、政府は、児童相談所が対応を行った児童虐待に関する報告事項について、実際に虐待に「該当」した件数と「非該当」も含め相談を受けて対応した件数を分けて報告することについて、早急に検討を行うべきであると考えるが、見解を示されたい。

二 児童相談所への児童福祉司の配置基準について、管轄区域の人口に加え、児童相談所の虐待対応件数については、従来の児童虐待に「該当」した件数に加え、「非該当」であった相談も含めて対応した件数を考慮した上で決定すべきであると考えるが所見を伺う。

  右質問する。