質問主意書

第212回国会(臨時会)

質問主意書

質問第一一号

空家等対策特措法施行後の空き家対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年十月二十日

浜田 聡


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   空家等対策特措法施行後の空き家対策に関する質問主意書

 第百七十七回国会で横山信一参議院議員が提出した「空き家対策に関する質問主意書」(第百七十七回国会質問第二二九号)では、「国も地域住宅交付金等の形で空き家の解体費用に対する補助を行ってきたが、その対象は過疎地域や旧産炭地域等に限られている。そこで、このような措置の拡充を含め、国は更なる対策を早急に講ずる必要があると考えるがどうか」との質問がされている。

 答弁書には、「地方公共団体が行う空き家の除却事業のほか、産炭等地域及び過疎地域等を対象とする地方公共団体が行う空き家を改修して活用する事業に対して、社会資本整備総合交付金により支援しているところであり、また、特定非営利活動法人等が行う、住み替えにより空き家を活用する事業等に対しても助成して支援しているところである。政府としては、今後とも、こうした取組を通じて、地方公共団体が地域の実情に応じて居住環境の整備改善等を推進することができるよう支援してまいりたい」と記載されている。

 当時は現在のようないわゆる「空家等対策特措法」等の施策がない時代であり、総合的な空き家対策事業が行われていなかったと理解している。

 以後、国土交通省の政策としては、財政上の措置として、空き家再生等推進事業(平成二十年度~)、空き家対策総合支援事業(平成二十八年度~)、住宅市場を活用した空き家対策モデル事業(令和三年度~令和四年度)、空き家対策の担い手強化・連携モデル事業(平成三十年度~令和二年度)、先駆的空き家対策モデル事業(平成二十八年度~平成二十九年度)、空き家管理等基盤強化推進事業(平成二十五年度~平成二十七年度)、空き家所有者情報提供による空き家利活用推進事業(平成二十九年度)があり、税制上の措置として、空家の除却等を促進するための土地に係る固定資産税等に関する所要の措置(平成二十七年度税制改正)、空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の三千万円特別控除)(令和五年度税制改正)があるが、これらの措置をもってしても空き家問題の根本的な解決には至っていないと考える。

 第二百十一回国会の法改正では、「イメージとしてはインセンティブを渡すよりは罰則が有効だなというふうに、所有者の方とお話をしていると思います」(社会資本整備審議会住宅宅地分科会空き家対策小委員会(第一回)議事録 令和四年十月二十五日 三十五ページ)という空き家小委員会のメンバーの共通認識のもと改正された。そのため、所有者側の受け取り方として罰則が重視されている政策であると考え、居住実態があるような状態の継続や最小限の管理に留める等のような方法を用いて罰則の適用から逃れようとする、あるいは空き家であることをあいまいにした所有状態のまま放置する可能性が考えられる。法改正に至った目的とされている空き家抑制にはつながるが、活用意向がない相続人が必要な管理をせずに空き家を放置する事や、買い手・借り手が見つからないまま放置する可能性がある。これは「空き家はなるべく早い段階で活用する」という法の方針にそぐわないものと考えられる。

 一方で空き家の流通を促進するための施策に取り組む方向性でも今回の改正は行われている。そのため右記載の状態の空き家が増える場合、利用可能な空き家の数が減少し、活用促進の規定を設けていながら利用できる空き家が存在しないという、改正の矛盾が生じることとなる。

 法の改正においてはむしろ、住む者がいなくなった家屋、土地は速やかに別の者の手に渡ることが地域の健全性、資源の有効活用として必要な視点であろうと考える。できるだけ早い段階で空き家、空地を活用するためには、不動産を手放す際にかかる諸税を減免し、積極的に所有者が手放したくなる環境を整備する方向性を持った方が良いのではないか。

 そこで、以下質問する。

一 空き家、空地に関して売却時の固定資産税、相続税、譲渡所得税の減免もしくは廃止を検討すべきと考えるが、政府の見解は如何。

二 現行の問題に対処すべく用途地域による建物の用途制限の緩和を検討すべきと考えるが、政府の見解は如何。

 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。