質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第一二三号

集団による性暴力の被害の甚大さへの対応に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年六月十九日

牧山 ひろえ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   集団による性暴力の被害の甚大さへの対応に関する質問主意書

 平成二十九年の刑法改正で「二人以上の者が現場において共同」した性犯罪、例えば集団強姦罪の規定が削除された。当時、法務省は「法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会第二回会議」(平成二十七年十一月二十七日)において、集団強姦罪の廃止の理由について、強姦罪の法定刑の下限を懲役五年に引き上げることとすると、集団強姦罪の法定刑の下限である四年を超えることとなり、集団強姦罪を廃止したとしても、強姦罪を適用することにより現行法以上の刑を科すことが可能となるためと説明していた。しかしながら、集団によって性加害がなされるという質の違う悪質さからして、より深刻な犯罪ステージであると考えるべきである。また、刑法には行為規範としての機能も期待されている。法定刑の軽重で単純に判断するのではなく、複数者による性加害行為の抑制のために「行為規範を示す」という意味でも、複数の加害者による性犯罪について、処罰規定の復活を含めた検討、議論が必要ではないだろうか。

 集団犯罪としての事案に着目すると、加害者が複数犯である場合、単独犯に比べ、「暴力」、「アルコール」、「薬物」が利用される割合が高く、より加害行為の悪質性が増幅し、被害者の心身を深く傷つける行為が、より多く実行されている傾向がある。

 このように、性犯罪加害者が複数に及ぶ場合に、加害行為の悪質性が増幅し、被害者への心身への悪影響がより甚大になることに鑑み、加重類型を設けるなどその抑制のために行為規範を示すための調査研究、集団による性加害の防止対策を講ずるよう努めるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。