質問主意書

第210回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一〇第四一号
  令和四年十二月二日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員塩村あやか君提出就職氷河期世代支援に関するこれまでの取組及び成果並びに今後の取組に資する新しい資本主義の在り方等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員塩村あやか君提出就職氷河期世代支援に関するこれまでの取組及び成果並びに今後の取組に資する新しい資本主義の在り方等に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「就職氷河期世代の正規雇用者数は二〇一九年から二〇二〇年にかけて横ばい、二〇二一年には三万人の増加となった。」ことに関する評価及び理由については、政府としては、令和四年五月にこれまで講じてきた就職氷河期世代支援に関する施策の効果等についての検証結果を公表しており、例えば、ハローワークの職業紹介により令和二年度及び令和三年度において約二十万人の正社員での就職を実現する等、当該施策は一定の成果を挙げてきたと考えているが、令和二年以降、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、雇用情勢が厳しくなったため、離職者の増加等により施策の効果が相殺された側面があると考えている。今後、令和四年の「正規雇用者数」等のデータが判明した後、それらも含めて更なる分析及び評価を行う考えである。

二について

 就職氷河期世代支援プログラムに基づく三年間の集中的な取組に続き、「経済財政運営と改革の基本方針二〇二二」(令和四年六月七日閣議決定)において、令和五年度からの二年間を就職氷河期世代支援の「第二ステージ」と位置付け、「第二ステージを含めた取組により、現状よりも良い処遇、そもそも働くことや社会参加を促す中で、同世代の正規の雇用者について三十万人増やすことを目指す」としたところである。今後とも、施策の実績等の検証を行い、その結果を踏まえて必要な施策の見直しを行いながら、効果的・効率的な支援に取り組み、成果を積み上げていく考えである。

三の1について

 お尋ねの「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」に関する「正規雇用労働者等へ転換した後に退職した者の数」については把握しておらず、お答えすることは困難である。

三の2について

 御指摘の「キャリアアップ助成金(正社員化コース)の取組状況に関して」の趣旨が必ずしも明らかではないが、お尋ねの「国家公務員又は地方公務員として正規雇用された者の数」については、国家公務員に関しては、令和二年度及び令和三年度に実施された国家公務員中途採用者選考試験(就職氷河期世代)により採用された者の人数は、それぞれ百九十一人及び百八十八人となっているほか、両年度に実施された各府省における既存の経験者採用等による就職氷河期世代の採用者数は、それぞれ九百十八人及び八百九十四人である。

 地方公務員に関しては、両年度に実施された就職氷河期世代に限定した採用試験により採用された者の人数は、それぞれ六百七十七人及び五百四十七人となっているほか、両年度に実施された就職氷河期世代が受験可能な中途採用試験による就職氷河期世代の採用者数は、それぞれ三千十七人及び二千八百四十六人となっている。

 お尋ねの「年度別に、国家公務員又は地方公務員として正規雇用された者」の「正規雇用前の就業状況(就業の有無、有業及び無業の期間)」については、統一的に把握することは行っておらず、お答えすることは困難である。

四について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、政府としては、就職氷河期世代の中には、希望する就職ができず、不本意ながら不安定な仕事に就いており、安定的な収入を得ることができていない者がいることから、これらの者の安定的な就労に向けて、相談、教育訓練から就職までの切れ目のない支援にしっかりと取り組んでいくことが必要であると考えている。

五の1について

 お尋ねの「「人への投資」の施策パッケージの実施のため計上される五年間で一兆円」については、令和五年六月までに取りまとめる予定の「労働移動円滑化のための指針」を踏まえて必要な政策を具体化していくこととしていることや、これらの政策は就職氷河期世代を含む幅広い世代を対象にするものであることから、「就職氷河期世代に対する支援に充てられる額及び具体的な施策の内容」のみを特定してお答えすることは困難である。

五の2について

 御指摘の「「成長分野」の意義」について、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」(令和四年十月二十八日閣議決定)においては、「日本経済を持続可能で一段高い成長経路に乗せていくためには、グリーンやデジタルなどの非連続なイノベーションで社会課題を解決し、それを成長のエンジンとする新しい資本主義を実現することである。このため、科学技術・イノベーション、スタートアップ、GX(グリーン・トランスフォーメーション)、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の四分野に重点を置」くこととしているが、御指摘の「これまでの我が国の経済発展の基盤とされた分野」が具体的に何を指すのか明らかではないため、お尋ねの「相違を対比」することは困難である。

 お尋ねの「我が国経済が当該成長分野をこれまで主要産業に転換できていない理由」については、令和四年二月十八日の衆議院予算委員会において、岸田内閣総理大臣が、「我が国においては、一九九〇年代のバブル崩壊以降、低い経済成長と長引くデフレによって停滞の時代を経験してきました。企業においては投資あるいは賃金を抑制する、消費者においては将来への不安から消費を抑制する、こうしたことで需要が低迷しデフレが加速化する、こうした悪循環が続いたということだと思っています。その結果、我が国においては、人的投資、さらには設備投資の対GDP比、あるいは可処分所得の伸び、主要先進国に対して劣後してしまった、また、デジタル化、気候変動、こういったイノベーションの波や世界的な課題への対応が遅れてしまった、こうしたことがあったと思います。」と答弁しているところである。