質問主意書

第210回国会(臨時会)

質問主意書

質問第二六号

自治体が管理するディープフリーザーに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年十月二十五日

浜田 聡


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   自治体が管理するディープフリーザーに関する質問主意書

 令和四年十月十日に読売新聞オンラインにて配信された記事「ワクチン冷凍庫「使用めどなし」四十台…大半が「超低温冷凍庫」、ファイザー製供給不足で余剰に」によると、「冷凍庫の配備を巡り、国は接種事業を急ピッチで進め、ほぼ全ての国民が一斉にワクチン接種することを想定し、メーカー側に冷凍庫の増産を要請。国が一括購入で自治体に無償譲渡し、全国に計一万三千台以上を配っている。しかし、本紙調査で七十八自治体の約千台が使われていないことが判明した。」とある(以下、当該記事中の「新型コロナウイルスのワクチンを保管する冷凍庫」のうち、国が自治体に無償譲渡したものを「ディープフリーザー」という。)。当該記事において、ディープフリーザーが、国の接種事業終了後に一斉に不要になることについて、多くの自治体が危機感を抱いていることを明らかにした点は意義深い。

 一方、当該記事が配信されてからというもの、大学や研究機関の関係者と思しき方が「一度も使っていないなら譲ってほしい」という声をネット上であげていることを多数見かける。これは、国立大学に交付される運営費交付金が減少傾向にあることに加え、大学等の研究機関においては、競争的研究費を用いて当該研究以外に転用できる製品を購入することを著しく制限しているがために、DNAやRNAを研究する大学の研究室ですら、冷凍庫を買い替える資金がなく、耐用年数をとうに超えた冷凍庫を使わざるを得ない状況にあるからである。このような状況下において、自治体に処分費を支払わせ、まだ使えるディープフリーザーを処分させておきながら、大学に古い冷凍庫を使わせ続けることに何の意義があろうか。そのようなことは、政府が採用した「SDGsアクションプラン二〇二二~全ての人が生きがいを感じられる、新しい社会へ~(令和三年十二月SDGs推進本部)」中「循環型社会」に真っ向から反することは明らかであり、合理性のかけらもない。一度も使用されていないディープフリーザーの有効活用法を考えてこそ、SDGsの実現に資するというものである。

 右を踏まえて、以下質問する。

一 例えば、普段は研究用途として使用し、新型コロナウイルス感染症が流行する等してワクチン(新型コロナウイルス感染症に係るワクチンをいう。以下同じ)の需要が高まればワクチンを保管すると同時に大学の施設を集団接種会場にする等すれば、ディープフリーザーの有効活用が可能になるとともに、資産は自治体のままであるものの、実態として大学がディープフリーザーを管理することとなることから、自治体はディープフリーザーの管理に悩まされずに済むこととなる。ディープフリーザーにワクチン以外のものを保管することは可能か。

二 耐用年数五年を超えたディープフリーザーに関しては、自治体が無償譲渡を含め他者に譲渡してもよいのか。

三 当該記事には「フル稼働するほか、オミクロン株対応ワクチン接種のために追加発注を検討している自治体もあり、自治体間での融通など運用方法が課題になっている。」とある。耐用年数五年を迎える前のディープフリーザーに関して、自治体は他自治体に無償譲渡することができるか。

 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。