質問主意書

第209回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二〇九第一三号
  令和四年八月十五日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員紙智子君提出肥料、輸入粗飼料価格の高騰から生産者の経営を守るための支援に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員紙智子君提出肥料、輸入粗飼料価格の高騰から生産者の経営を守るための支援に関する質問に対する答弁書

一の1について

 農業者による取組と、政府による肥料の価格高騰に対する支援等を組み合わせることにより、御指摘の「農産品全般の生産コスト一割削減」を目指すこととしている。

一の2について

 御指摘の「二〇〇八年の支援策」は、化学肥料の使用量の二割低減に向けた取組を行う農業者に対し、平成二十年七月から平成二十一年六月まで(以下「平成二十年度」という。)に購入した肥料に係る経費のうち、平成十九年七月から平成二十年六月まで(以下「平成十九年度」という。)と比較して増加した分の七割に相当する金額について政府が負担するものであるが、その申請に当たっては、農業者に対し、原則として、平成二十年度及び平成十九年度に購入した肥料に係る領収書の提出を求め、これらに記載された金額に基づき、政府が負担する金額を算定する仕組みとしていた。

 一方、令和四年七月二十九日の令和四年度一般会計新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費の使用の閣議決定に基づき措置した「肥料価格高騰対策事業」(以下「本事業」という。)は、化学肥料の使用量の二割低減に向けた取組を行う農業者に対し、令和四年六月から令和五年五月まで(以下「本年度」という。)に購入した肥料に係る経費のうち、令和三年六月から令和四年五月まで(以下「前年度」という。)と比較して増加した分の七割に相当する金額について政府が負担するものであるが、本年度の領収書に記載された金額をもとに政府が負担する金額を一定の計算式に基づき算定する方式とすることにより、前年度の領収書の提出を不要とするなど、御指摘の「申請や事務手続きの簡素化」に配慮した仕組みとしている。また、御指摘の「すでに化学肥料の低減に取り組んでいる生産者」においては、当該取組を継続し、その一部を強化することも、御指摘の「支援金」の交付を受けるための要件を満たすものとすることとしている。

一の3について

 農林水産省の「農業物価統計調査」によると、令和三年の肥料の価格は、令和二年と比較すると二・七パーセントの上昇であり、おおむね例年並みであった一方、令和四年の肥料の価格は、令和三年以降の肥料原料の価格上昇により、今後の急激な上昇が見込まれることから、本事業においては、御指摘のように「前年のコスト差に限定した」ものである。

二の1について

 御指摘の「輸入粗飼料価格の高騰対策」については、「食料・農業・農村基本計画」(令和二年三月三十一日閣議決定)において、粗飼料は、国内消費仕向量の百パーセントに相当する生産努力目標を示しているため、御指摘の「配合飼料価格高騰対策」と同様の支援は行っていない。農林水産省としては、輸入粗飼料の価格の上昇等の影響を受けにくい畜産経営を確保することが重要と認識しており、今後とも、国産粗飼料の生産及び利用拡大を推進していく考えである。

二の2について

 御指摘の「水田活用の直接支払交付金の牧草の単価を十アール当たり三万五千円から一万円に削減すること」については、収穫作業のみを行う年は牧草の生産コストが低いことを踏まえ、水田活用の直接支払交付金における飼料作物のうち牧草に係る助成単価を見直したものであり、御指摘のように「基本計画に背くもの」とは考えていない。

三について

 御指摘の「生産者の所得を維持・向上させる施策、効果」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「政府が本年七月十五日に示した「農産物生産コスト一割削減に向けて創設される新しい支援金等について」」を踏まえて本事業を措置したところ、本事業においては、化学肥料の使用量の二割低減に向けた取組を行う農業者に対し、本年度に購入した肥料に係る経費のうち、前年度と比較して増加した分の七割に相当する金額について政府が負担することを通じて、肥料の価格高騰が農業経営に及ぼす影響の緩和を図ることとしている。