質問主意書

第209回国会(臨時会)

質問主意書

質問第八号

故安倍晋三元総理の国葬儀に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年八月四日

田島 麻衣子


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   故安倍晋三元総理の国葬儀に関する質問主意書

 政府は令和四年七月二十二日の閣議において、故安倍晋三元総理の国葬儀を同年九月二十七日、日本武道館において執り行うことを決定した。故安倍晋三元総理への蛮行は断じて許されず、強く非難されるべきものである。しかしながら、国民の税金を使って行われる国葬儀が、十分な国会審議を経ずに、閣議決定という行政措置のみで行われる点に疑問を抱く国民は少なくない。

 以上の問題意識から、質問する。

一 大正十五年の国葬令で規定される大喪の儀、国葬儀、そして国葬の定義をそれぞれ述べられたい。

二 岸田文雄総理は、令和四年七月二十二日の日本経済団体連合会夏季フォーラムにおける講演で、「九月二十七日に武道館で国葬儀、いわゆる国葬を執り行うことといたしました」と発言しているが、国葬儀と国葬は同じ意味か。

三 国の儀式として国民の税金を使う故安倍晋三元総理の国葬儀の実施が、国権の最高機関たる国会で一度も説明されない理由を示されたい。また、国会で一度も説明されないことが妥当であると政府が考える根拠を示されたい。

四 故安倍晋三元総理の国葬儀の予算額とその内訳について、説明されたい。

五 昭和四十三年五月九日の衆議院決算委員会において、政府は、故吉田茂元総理の国葬儀の費用について「総額千八百九万六千円のうち、国葬儀準備等に必要な経費が四百五十九万八千円。その内訳を申しますと、これは送迎用のバス等の借り上げ費が百九十四万円、案内状等の印刷及び送料等通信費が百三十八万五千円、準備会議費、救護班謝礼その他が百二十七万三千円。次に武道館の借り上げに必要な経費が三百九十四万二千円。それから第三番目に、国葬儀場飾りつけ等に必要な経費として九百五十五万六千円でございますが、そのうちおもなものは、生花の飾り二百七十万円、献花百五十万円等でございます」と答弁している。今回の故安倍晋三元総理の国葬儀について、上記の内訳にない費用がかかる場合、それはどのような項目でいくらになるのか、示されたい。

六 故安倍晋三元総理の国葬儀の費用が、この質問主意書の提出時点で不明の場合は、岸田政権が費用に関する説明責任を国民に果たす時期はいつか、あわせて説明されたい。

七 故安倍晋三元総理の国葬儀の実際の運営は民間企業が行うのか。民間企業が行う場合、国との契約について、その入札方式は一般競争入札か、随意契約か。国葬儀は国民の税金を使い実施されるが、一般競争入札が行われない場合、その理由は何か。再委託、再々委託は予定されているか。

八 昭和四十三年五月九日の衆議院決算委員会において、故吉田茂元総理の国葬儀について当時の田中龍夫国務大臣は「行政措置といたしまして、従来ありましたような国民全体が喪に服するといったようなものはむしろつくるべきではない」と述べている。岸田政権は故安倍晋三元総理の国葬儀に関連して次の行為を、国民や関係組織に指示、または要請することはあるか。それぞれ答えられたい。

1 全国各地におけるサイレンや黙祷

2 国公立の教育機関における半旗または弔旗掲揚や午後の休校、行事の日時変更

3 官公庁の早退や一部休業、半旗または弔旗掲揚

4 民間企業や私立学校の早退や一部休業

5 一般家庭での半旗または弔旗掲揚や黙祷

6 NHKや一般社団法人日本民間放送連盟での番組変更

7 競馬や競輪などの公営競技の中止

8 公金を使用した記帳所の設置

9 その他、国民生活に影響を及ぼす国民の服喪

九 故安倍晋三元総理の国葬儀やそれに関連する服喪について、新型コロナウイルス感染症の流行が拡大し緊急事態を宣言するに至った場合、参列は制限されるか。

十 地方公共団体等、国とは異なる行政主体が前記八で挙げられた行為を自主的に決めた場合、当該団体に属する労働者はその決定に従う義務はあるか。

十一 当該労働者が前記十の決定に従わなかった場合、職場の管理者は、当該労働者が業務評価や人事等で不利益を被らないようにすべき義務を負うか。また、当該労働者が前記十の決定に従わなかったことを契機に、職場内の同僚間の人間関係において不利益を被らないようにすべき義務を負うか。

  右質問する。