質問主意書

第209回国会(臨時会)

質問主意書

質問第六号

障害福祉サービス等報酬と経営概況調査に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年八月四日

田島 麻衣子


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   障害福祉サービス等報酬と経営概況調査に関する質問主意書

 自治体や社会福祉法人が運営を独占してきた福祉サービスの質の停滞を背景に、これまでの行政側に決定権がある措置制度を改め、サービスの利用者が自らの意志で利用するサービスについて選択できる利用制度に方向転換したとされる。この制度の下では障害福祉サービスの事業者は、障害福祉サービス等報酬を受けて経営するため、障害福祉サービス等報酬の改定により事業者の経営が左右される。

 また、障害福祉サービス等経営概況調査(以下「経営概況調査」という。)は、三年に一度、全国の障害福祉サービス等事業者の一部に前年度と前々年度の決算情報を問い合わせた結果を障害福祉サービスの種別ごと等で取りまとめたもので、障害福祉サービス等の報酬を決める基礎資料という位置付けである。

 そこで、障害福祉サービス等報酬と経営概況調査について、以下質問する。

一 放課後等デイサービスについては、利用者の障害の特性や軽重を問わず、事業所の定員と資格種別により有資格者の配置加算が定められているが、その根拠は何か。

二 実務経験を伴う資格取得要件が改正とともに厳しくなったことにより、有資格者の人件費高騰と人材争奪が起きており、資金繰りによりサービス全体の質が低下する懸念はあるか。

三 障害福祉サービスでは、サービスを利用者が選択できるとされるが、実際には定員が空いている事業所から選んでいる。利用希望が集中する事業所の定員の増加対策は検討しているか。

四 従前、経営概況調査の結果として公表された数字は、自治体が独自に行う加算や補助金を含んでいるか。

五 政府は全国の自治体が独自に行う加算や補助金の全容を把握しているか。

六 障害福祉サービス等報酬を算定するにあたっては、全国の自治体が独自に行う加算や補助金を含まない数字を基礎に定めなければ、障害者福祉に積極的でない自治体に所在する障害福祉サービス等事業者の経営に重大な影響を及ぼすことが懸念されるが、政府は、今後の経営概況調査をどのように改善することを考えているか。

七 障害福祉サービスの質、とりわけ放課後等デイサービスではサービスの質が審議会等でも議論になるものの、その定義が明らかでない。提供するサービスの内容を監査する等が可能になるように良質なサービスの内容を明らかにすることが必要ではないか。政府の見解を問う。

八 障害福祉サービス等報酬の改定はおおむね三年に一度行われているが、現在の経済状況からすれば、次の改定までに物価の高騰や人件費の上昇等事業の継続に影響を及ぼす事態が起きることも想定されるが、どのような対策を考えているか。

  右質問する。