質問主意書

第208回国会(常会)

答弁書

内閣参質二〇八第七一号
  令和四年六月二十四日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員羽田次郎君提出新型コロナウイルスのワクチンの副反応と後遺症への対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員羽田次郎君提出新型コロナウイルスのワクチンの副反応と後遺症への対策に関する質問に対する答弁書

一及び四について

 新型コロナウイルス感染症に係る予防接種(以下「新型コロナ予防接種」という。)を受けたことによるものと疑われる症状については、予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)第十二条第一項の規定により、医師等から厚生労働大臣に報告されているほか、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号。以下「医薬品医療機器等法」という。)第六十八条の十第一項及び第二項の規定により、新型コロナ予防接種に使用するワクチン(以下「新型コロナワクチン」という。)の製造販売業者、医薬関係者等から同大臣に報告されており、これらの制度を通じて情報収集を図っている。また、適時開催される薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会及び厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会の合同会議(以下「合同部会」という。)において、これらの報告(以下「副反応疑い報告」という。)に基づき、新型コロナワクチンの安全性に係る必要な評価を行っているところである。

 新型コロナワクチンに係る副反応疑い報告については、合同部会において、症状別の報告件数を示しているが、お尋ねの「日常生活に支障をきたす副反応や後遺症の可能性がある症状」の意味するところが明らかではないため、この点に関するお尋ねについてお答えすることは困難である。

 なお、新型コロナ予防接種を受けたことによるものと疑われる症状であって、遷延するものについては、これまで、合同部会において、新型コロナ予防接種がその原因であると判断された事例はないが、今後、専門家の意見も聴きながら、その実態の把握や病態等の解明に必要な研究を行っていく予定である。

二について

 御指摘の「体調不良」の意味するところが必ずしも明らかではないが、予防接種法に基づく予防接種健康被害救済制度において、給付の請求は請求者から市町村に対して行い、給付は厚生労働大臣の認定に基づいて市町村が行うこととされているため、厚生労働省において、請求件数及び給付件数は把握しておらず、お尋ねについてお答えすることは困難である。ただし、給付を受けた人数に関しては、今後、市町村に対して調査を実施する予定である。なお、当該制度において、疾病、障害又は死亡が同法に基づく新型コロナ予防接種を受けたことによるものであると同大臣が認定等を行った件数については、同省ホームページで公表することとしており、令和四年六月二日時点で、市町村からの進達の受理は二千百九十一件、認定は七百九十三件、否認は五十九件、保留は十三件である。

 また、当該制度の概要については、同省ホームページに掲載することに加え、市町村が新型コロナ予防接種を受ける者に配布する新型コロナ予防接種に関する説明資料においても記載しており、引き続き、当該制度の周知に取り組んでまいりたい。

三について

 新型コロナ予防接種を受けたことによるものと疑われる症状については、「新型コロナウイルスワクチン接種後の副反応を疑う症状に対する診療体制の構築について」(令和三年二月一日付け健健発〇二〇一第二号厚生労働省健康局健康課長通知)を発出し、都道府県に対し、当該症状に対応する相談窓口の設置や医療提供体制の確保を依頼したところである。当該症状に対応する相談窓口の設置については、当該症状についての相談には専門的な知識が必要となることが多いため、市町村によっては必ずしも十分な体制が確保できない可能性があることから、市町村ではなく都道府県に対して依頼したものであり、現時点では、全ての都道府県において相談窓口が開設されたことを確認している。

五について

 お尋ねの「小児用コロナワクチン」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に「小児用コロナワクチン」が令和四年一月二十一日に医薬品医療機器等法第十四条の三第一項の規定に基づき厚生労働大臣が特例承認を行ったコミナティ筋注五~十一歳用(以下「コミナティ」という。)を意味するものであるとすれば、お尋ねのコミナティ接種後の心筋炎発症のリスクについては、コミナティについての独立行政法人医薬品医療機器総合機構の審査報告書において、「現時点で五~十一歳の小児において許容できないリスクを示唆する情報は得られていない」、「小児における心筋炎・心膜炎については、引き続き国内外の情報を収集し、得られた情報に基づき、適切な対応を検討する必要がある」等とされているものと承知しており、コミナティの添付文書や関連するリーフレット等において必要な注意事項等を記載して情報提供を行っている。加えて、合同部会において、副反応疑い報告等の状況を注視していくとともに、必要な評価及び分析を行っていくこととされており、政府としては、引き続き適切に対応してまいりたい。