質問主意書

第208回国会(常会)

答弁書

内閣参質二〇八第六九号
  令和四年六月二十四日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員田島麻衣子君提出物価高騰に対する政府の認識と対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員田島麻衣子君提出物価高騰に対する政府の認識と対応に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 物価は様々な要因によって変動するものであり、金融政策も物価変動の要因の一つであると認識しているが、現在の国内の物価上昇は、主にウクライナ情勢等に伴う世界的な原材料価格の上昇によるものと認識している。

三について

 御指摘の「アベノミクス」については、令和三年十月十一日の衆議院本会議において、岸田内閣総理大臣が「デフレでない状況をつくり出し、GDPを高め、雇用を拡大いたしました。我が国の経済の成長、体質強化に大きな役割を果たしました。」と答弁しているところである。

四について

 令和四年四月の消費者物価指数は、電気代や食料品を中心に上昇しており、低所得者世帯などではこうした品目への支出の世帯支出に占める割合が相対的に大きいと認識している。こうした状況に緊急かつ機動的に対応するため、「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」」(令和四年四月二十六日原油価格・物価高騰等に関する関係閣僚会議決定。以下「総合緊急対策」という。)を取りまとめた。総合緊急対策においては、「低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金の支給や、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金のコロナ禍における原油価格・物価高騰に対応する新たな枠の創設による地域の実情に応じたきめ細かな生活困窮者対策の実施など真に生活に困っている方々への支援措置を強化する」こととしている。

五について

 お尋ねの「現在の食品価格の高騰は、子ども達の栄養状況にどのような影響を及ぼす」かについて調査しておらず、お答えすることは困難である。

 なお、平成二十四年度から平成二十六年度までの厚生労働科学研究費補助金による「日本人の食生活の内容を規定する社会経済的要因に関する実証的研究」において、世帯年収が低い世帯の子どもは、野菜摂取頻度が少ないなどの結果が得られている。

 また、平成二十七年度に厚生労働省が実施した乳幼児栄養調査によると、「魚」、「大豆・大豆製品」、「野菜」、「果物」は、経済的な暮らし向きが「ゆとりあり」の場合に摂取頻度が高い傾向が見られ、「菓子(菓子パンを含む)」、「インスタントラーメンやカップ麺」については、経済的な暮らし向きが「ゆとりなし」の場合に摂取頻度が高い傾向が見られた。

六について

 前段のお尋ねについて、学校の給食費は各学校の設置者が設定するものであるため、政府として網羅的に把握しておらず、お答えすることは困難であるが、各地方自治体に対して、総合緊急対策を踏まえ、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の拡充により創設される「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」を活用し、学校給食費等の負担軽減に向けた取組を進めるよう促しているところである。

 後段のお尋ねについては、「子ども達の栄養状況」については政府として把握していないため、お答えすることは困難である。

七について

 お尋ねの「電気価格の高騰による熱中症のリスク」について、政府としては、「熱中症対策行動計画」(令和四年四月十三日熱中症対策推進会議決定)に記載されているとおり、「全国民がエアコンを適切に利用し、十分な熱中症予防行動を取らない場合、今夏の熱中症リスクは非常に高くなることが考えられ、例年以上に一層の危機感をもって対応していかなければならない」と認識している。

八について

 政府としては、運輸業や倉庫業を営む者の大半を占める中小企業においては、荷主に対する価格交渉力の弱さ等により、適正な運賃や料金の収受が難しい場合があると認識している。また、総合緊急対策等に基づき、燃料等の価格上昇分が運賃や料金に適正に反映されるよう、荷主や元請企業に対する周知、働きかけ等を行っているところである。

九について

 お尋ねの「物価高騰が家計に与える影響は、四半期後及び半年後にどのようなものになる」かについては、ウクライナ情勢を始め、今後の物価をめぐる状況は極めて不透明であり、一概にお答えすることは困難であるが、足元のウクライナ情勢等に伴う、原油価格や物価の高騰などによる影響を緩和するための対応を緊急かつ機動的に実施するため、総合緊急対策に盛り込まれた各施策を迅速に実行していく。その上で、予備費の活用等により予期せぬ財政需要にも迅速に対応して国民の安心を確保することとしている。