質問主意書

第208回国会(常会)

答弁書

内閣参質二〇八第六五号
  令和四年六月二十四日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員紙智子君外二名提出肥料、配合飼料、輸入粗飼料の高騰に対する緊急支援に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員紙智子君外二名提出肥料、配合飼料、輸入粗飼料の高騰に対する緊急支援に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「肥料(窒素、リン、塩化カリウム)原料」が具体的にどの種類の肥料原料を指すのかが必ずしも明らかではないが、財務省の「貿易統計」によると、令和二年一月における我が国の一トン当たりの輸入価格は、尿素にあっては三万六千六百十一円、りん酸アンモニウムにあっては四万四百七十四円、塩化カリウムにあっては四万四千八十五円であると算出される。また、お尋ねの令和四年六月の肥料原料の輸入価格については、公表されている貿易統計が同年四月のものまでであることからお答えすることは困難であるが、同月における我が国の一トン当たりの輸入価格は、尿素にあっては十一万七千四百四十八円、りん酸アンモニウムにあっては十四万七百二十二円、塩化カリウムにあっては八万四千二十七円であると算出され、これらの輸入価格の令和二年一月における輸入価格に対する上昇率は、それぞれ約二百二十一パーセント、約二百四十八パーセント及び約九十一パーセントである。

 お尋ねのシカゴ商品取引所の一ブッシェル当たりのとうもろこしの先物取引の相場は、令和二年一月にあっては三百八十五・七四セント、令和四年六月一日から同月十日までにあっては七百四十六・五〇セントであり、令和二年一月における相場に対する令和四年六月一日から同月十日までにおける相場の上昇率は約九十四パーセントである。

 お尋ねのシカゴ商品取引所の一ショートトン当たりの「大豆油かす」の先物取引の相場は、令和二年一月にあっては二百九十七・五ドル、令和四年六月一日から同月十日までにあっては四百十四・七ドルであり、令和二年一月における相場に対する令和四年六月一日から同月十日までにおける相場の上昇率は約三十九パーセントである。

 公益社団法人配合飼料供給安定機構が実施した調査によると、お尋ねの「配合飼料の工場渡価格」の全畜種の加重平均は、令和二年一月においては一トン当たり六万七千百七十二円である。また、お尋ねの令和四年六月の当該加重平均については、公表されている当該調査のデータが同年三月のものまでであることからお答えすることは困難であるが、同月における当該加重平均は一トン当たり八万三千二百二円であり、令和二年一月における加重平均に対する上昇率は約二十四パーセントである。

 お尋ねの「輸入乾燥草の直近の輸入価格と対前年比」については、財務省の「貿易統計」によると、令和四年四月の輸入乾牧草の輸入価格は一キログラム当たり五十四・二円であると算出され、対前年同月比は約百三十五パーセントである。

二について

 お尋ねの「日本銀行の「異次元の緊急緩和」政策による円安誘導」の具体的に意味するところが明らかではなく、また、輸入価格及び販売価格は、その時々の需給動向等、様々な要因の影響を受けることから、一概にお答えすることは困難である。

三の1について

 御指摘の「肥料」については、令和四年四月二十六日の関係閣僚会議において決定された「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」」(以下「緊急対策」という。)に基づき、化学肥料原料調達支援緊急対策事業において肥料製造事業者が本年秋までに調達を要する主要な肥料原料について、代替国からの調達等を支援するとともに、肥料コスト低減体系緊急転換事業において肥料コストを低減させる施肥の方法への転換を進める取組として、土壌診断や肥料コストの低減に資する技術の導入等を支援することとしたところであるが、お尋ねについては、今後の肥料価格の動向が農業経営に及ぼす影響を見極めつつ、どのような対策が必要かを検討してまいりたい。

三の2について

 御指摘の「配合飼料価格」については、緊急対策に基づき、配合飼料価格高騰緊急対策事業においてとうもろこし等の飼料原料価格の上昇等による配合飼料価格の上昇に対応し、配合飼料価格安定制度における生産者への補金交付を着実に実施することとしたところである。

 御指摘の「今の制度では救済できない」及び「違う次元で検討すべき」の意味するところが必ずしも明らかではないが、配合飼料価格の上昇が御指摘の「畜産生産者の経営を圧迫し」ていることへの対応については、令和四年四月十八日の衆議院決算行政監視委員会において、金子農林水産大臣が「飼料価格の高止まりにつきましては、・・・そうした事態への対応策といたしましては、畜種ごとの経営安定対策におきまして飼料費等の変動が反映される仕組みとなっており、これらを併せて畜産農家を支援してまいりたい」と答弁したとおりである。

三の3について

 御指摘の「国産粗飼料生産基盤」がぜい弱な地域における国産粗飼料の安定的な確保を図るため、緊急対策に基づき、飼料穀物備蓄・流通合理化事業において民間団体等が行う粗飼料の広域流通の効率化に資する取組として、国産粗飼料の広域流通のモデル的な取組の実証等を支援することとしたところである。

三の4について

 お尋ねについては、「食料・農業・農村基本計画」(令和二年三月三十一日閣議決定)において、飼料自給率を平成三十年度の二十五パーセントから令和十二年度には三十四パーセントに引き上げる目標を設定し、「飼料生産については、特に単収増が見込める畑地における作付、草地整備・草地改良、放牧、公共牧場の利用、水田を活用した飼料生産、子実用とうもろこしの生産、エコフィード等の製造・利用の拡大など、国産飼料の生産・利用を推進する」措置を講ずることとしている。

三の5について

 御指摘の「農業資材」の意味するところが必ずしも明らかではないが、農畜産物の生産に必要となる肥料や飼料原料については、国内での生産の確保や輸入先国の多様化のほか、農畜産物の生産性向上などの施策を組み合わせることにより御指摘の「海外に依存すること」を減らし、肥料や飼料原料の安定的な調達を確保し、もって食料の安定的な供給を確保する必要があると考えている。

四について

 お尋ねの「今年度から実施される水田活用の直接支払交付金のカット」及び「減反に協力してきた生産者の営農意欲を奪い、地域経済への影響が避けられない」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和四年度予算において、水田活用の直接支払交付金について、当該交付金の助成対象作物の生産コスト等を踏まえ助成単価の見直し等を行ったところである。