質問主意書

第208回国会(常会)

答弁書

内閣参質二〇八第四〇号
  令和四年五月十日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員浜田聡君提出柏崎刈羽原子力発電所に適用される粗度区分及び設計基準風速の考え方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出柏崎刈羽原子力発電所に適用される粗度区分及び設計基準風速の考え方に関する質問に対する答弁書

一について

 危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和四十九年自治省告示第九十九号)第四条の十九第一項第一号の規定は、特定屋外貯蔵タンクが同号に掲げる計算方式により算出された風荷重に耐える設計であることを求めるものであり、必ずしも御指摘の「高さ十五メートルの地点において風速六十三メートルに耐えうる設計」を求めるものではない。

 同号については、近年の台風の風速が、同号を定めた際に想定した台風の風速に比べ弱まっていないこと等により、現在まで改正していない。

 建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第八十七条については、お尋ねの「特定屋外貯蔵タンクのように、個別に規制緩和しないとすることはできなかったのか」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、技術的知見の蓄積を踏まえ、規制の合理化を図るため、建築基準法施行令の一部を改正する政令(平成十二年政令第二百十一号)により、建築物の屋根の高さ、当該建築物の周辺の地域に存する風速に影響を与えるものの状況、当該建築物の存する地方における風の性状等に応じて、同条の規定により風圧力が算出されるように改正したものである。

二について

 平成二十五年九月二十七日に核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)第四十三条の三の八第一項の規定に基づき東京電力株式会社から原子力規制委員会に対してなされた同社の柏崎刈羽原子力発電所(以下「柏崎刈羽原発」という。)の発電用原子炉の設置変更許可申請(六号及び七号原子炉施設の変更)に係る審査(以下「審査」という。)において、同委員会は、実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(平成二十五年原子力規制委員会規則第五号)第六条第一項の規定に基づき、同規則第二条第二項第八号に規定する安全施設(以下「安全施設」という。)が風や台風を含む想定される自然現象が発生した場合においてもその安全機能を損なわない設計方針であることを確認しているが、その際「粗度区分」に関する具体的な「基準」は「策定」していない。

 また、お尋ねの「風荷重の再計算による原発再稼働が遅れるリスクを負うこととした」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、同委員会が審査で確認した風荷重の計算結果は、東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)が「柏崎市長が粗度区分Ⅱをそのまま維持することを前提」として示したものである。

三の1及び2について

 東京電力は、風や台風に関しては、「気象庁の観測記録のみ」ではなく、建築基準法施行令第八十七条第二項に基づき国土交通大臣が定める風速、柏崎刈羽原発近隣の気象観測所の観測記録等を基に、最大風速毎秒四十・一メートルを想定し、また、竜巻に関しては、柏崎刈羽原発が立地する地域等において過去に発生した竜巻の規模、頻度等を基に、最大風速毎秒九十二メートルを想定しており、原子力規制委員会として、審査において、これらの自然現象が発生した場合においても安全施設が安全機能を損なわない設計方針であることを確認しており、現時点においては、御指摘のように「柏崎刈羽原発の台風の風荷重を算出する際の最大風速は、四十六・二メートル毎秒とすべき」とは考えていない。

三の3について

 お尋ねの「強く周知すべきではないか」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、審査の結果については、原子力規制委員会のウェブサイトにおいて公開しているところである。

四について

 審査の結果に基づき、原子力規制委員会として、現時点においては、東京電力が、御指摘のように「再稼働後、速やかに最大風速四十六・二メートル毎秒かつ粗度区分Ⅰで風荷重を再計算」する必要はないと考えている。