質問主意書

第208回国会(常会)

答弁書

内閣参質二〇八第三六号
  令和四年四月二十二日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員矢田わか子君提出LNGの安定的確保と都市ガス供給事業の拡充支援に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員矢田わか子君提出LNGの安定的確保と都市ガス供給事業の拡充支援に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「これまでの改革の成果をどのように評価しているのか」については、政府としては、令和三年六月に、総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会電力・ガス基本政策小委員会及び同小委員会ガス事業制度検討ワーキンググループでの合計七回にわたる議論を踏まえ、ガスシステム改革が同月時点までに着実に進展していると評価しており、現時点においてもこの評価は基本的には変わらないものと考えている。今後、電気事業法等の一部を改正する等の法律(平成二十七年法律第四十七号)附則第七十五条第一項の規定に基づく検証を令和四年四月一日の導管部門の法的分離から五年以内に行うとともに、ガスシステム改革の進捗状況を引き続き注視していく考えである。

二について

 都市ガス事業においては、三箇月間の原料価格を平均した上で料金に反映する原料費調整制度を多くの都市ガス事業者が採用しているため、原料価格の高騰による小売料金の急激な上昇が一定程度抑制される状況であることから、お尋ねの「補助金を支給し、小売価格を抑制する施策」をLNGに対して講ずることは現時点では考えていないが、今後、「都市ガス事業者の経営」の「圧迫」や「需要家の負担増」への対策については、原料価格の動向を注視しつつ、その要否も含めて検討してまいりたい。

三の1について

 お尋ねの「インセンティブ型」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「二〇三〇年の目標達成に向け、エネルギー利用者の天然ガス転換を促すため」に、政府として、現在、燃料転換等を行う場合における省エネルギー設備の導入に係る費用の一部補助及び基礎素材産業各社が保有する石炭火力自家発電所の燃料転換等の実施可能性に係る調査に対する費用の一部補助を行っているところである。今後、これらの取組を踏まえ必要な施策を検討してまいりたい。

三の2について

 お尋ねの「導管の保守・拡張」のための支援策としては、政府として、これまで、導管等を新たに設置する一般ガス導管事業者を対象とした利子補給及び固定資産税の課税標準の特例措置を実施してきたところである。今後、これらの取組を踏まえ必要な施策を検討してまいりたい。

三の3について

 お尋ねの「国としての支援策」は、これまで、「技術開発」については、合成メタンの製造技術開発を行う事業者等に対してグリーンイノベーション基金を通じた開発費用の一部補助等の継続的な支援を行っていくことを決定し、「社会実装」については、令和三年六月に設置したメタネーション推進官民協議会を通じて二酸化炭素の計上方法の在り方等の社会実装のために不可欠な論点に関する議論を促進しているところである。今後、引き続きこれらの取組を進めるとともに、同協議会における議論を踏まえながら必要な施策を検討してまいりたい。

四の1について

 お尋ねの「エネルギーの分散型システムの構築」に向けて「これら省庁の連携のもとに政府としていかなる支援策を講じていくのか」については、これまで、例えば、総務省、経済産業省資源エネルギー庁、国土交通省、環境省等が連携し、総務省を窓口とする関係省庁タスクフォースを設け、地方公共団体に対してエネルギーシステムの構築に係る助言を行っているところである。今後、我が国における「エネルギーの分散型システムの構築」の進捗状況を踏まえ、「実証実験」を含め、省庁間で連携して必要な取組を検討してまいりたい。

四の2について

 お尋ねの「目標の実現に」向けた「製造事業者等」に対する「具体的支援策」としては、これまで、燃料電池の研究開発に係る費用の一部補助等を行っているところであり、今後、これらの取組を踏まえ必要な措置を検討してまいりたい。また、燃料電池の制御技術を需給調整市場や容量市場等の電力市場において活用するための実証事業に対して費用の一部を補助することで燃料電池の利活用を促進し、燃料電池の市場の拡大を促しているところである。

五について

 政府として、「JOGMECによるリスクマネーの供給」に加え、積極的な資源外交の推進や株式会社日本貿易保険による貿易保険の引受け等を通じて、我が国企業による「石油・天然ガスの自主資源の開発」を「資金提供」及び「リスク管理」の面で積極的に支援していく方針である。