質問主意書

第208回国会(常会)

質問主意書

質問第八二号

ESG投資・サステナブルファイナンスの基準の策定等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年六月十五日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   ESG投資・サステナブルファイナンスの基準の策定等に関する質問主意書

 近年、気候変動などの社会の持続可能性を脅かす課題に対応して、ESG投資やサステナブルファイナンスの推進に向けた取組が加速している。この動きに関し、以下質問する。

一 上場企業によるサステナビリティ情報の開示について

 金融安定理事会(FSB)により設立された気候関連財務情報開示タスクフォース(以下「TCFD」という。)は、二〇一七年に気候変動情報の開示についての提言を公表した。このTCFDの提言に基づく開示を積極的に推進する動きが国際的にも進んでおり、日本国内でも昨年六月にコーポレートガバナンス・コードが改訂されたことで、市場再編により今年四月に発足した東京証券取引所のプライム市場への上場企業に対して「TCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべき」とされた。

 一方、国際財務報告基準(IFRS)に関わるIFRS財団は、サステナビリティに関する国際的な報告基準を策定するために、新たな基準設定主体である国際サステナビリティ基準審議会(以下「ISSB」という。)の設立を打ち出し、各国の証券監督当局等で構成される証券監督者国際機関(IOSCO)においても、昨年六月の「企業のサステナビリティ開示に関する報告書」においてIFRS財団との連携を前面に掲げた。

 こうした動きを踏まえ、金融商品取引法に基づく法定開示に関しては、金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループにおいて議論が進められていると承知している。企業側の負担軽減にも配慮しながら、実効性のある情報開示の枠組みが整備される必要があると考えるが、制度整備や検討の状況について伺う。

二 国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)への日本の貢献について

 IFRS財団は、昨年十一月にISSBを設立し、既存の開示基準の設定機関をISSBに統合していく方針を示した。ISSBでは、年内にも気候変動関係の開示基準案を策定するといわれており、ひとたび策定されれば国内企業等にも極めて大きな影響を与えることになる。

 ここで問題となるのが、これまでの国際財務報告基準の策定過程同様、基準づくりの過程で日本の知見を反映させるために、強い発言力をどこまで確保できるかである。そのためには、基準づくりを担うISSBについて、理事の選任、拠点の整備などで、日本としても積極的な貢献をしていくことが求められると考えるが、現時点での対応状況等を明らかにされたい。

  右質問する。