質問主意書

第208回国会(常会)

質問主意書

質問第五二号

日本証券金融株式会社の役職員が代々日本銀行出身者で占められていることに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年五月二十六日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   日本証券金融株式会社の役職員が代々日本銀行出身者で占められていることに関する質問主意書

 我が国では、行政システムの在り方について、内閣機能の強化や中央省庁再編、規制緩和等を通じたいわゆる事前規制型行政から事後監視型行政への転換など、行政の機能、組織及び運営の抜本的な見直しが進められてきた。一方、度重なる不祥事や天下り問題等について、公務員への国民からの激しい批判が寄せられていた。とりわけ、規制される側の民間企業が「顧問」であるとか「特別顧問」等と称して、会社の定款に定めのない不透明な役職を設けて、規制する側の省庁幹部を好待遇で迎え入れ、官民の癒着を図る行為に対して、国民からの激しい批判が寄せられたのである。このようなことから、行政を支える公務員制度についても、新たな行政システムの下でその役割と責任を果たしていくことや国民の信頼の再構築を図ることが求められ、平成十九年に国家公務員法等の一部を改正する法律(平成十九年法律第百八号。以下「天下り規制法」という。)によって、天下り規制が行われることとなったのである。

 しかし、国民からの激しい批判が寄せられている天下りについては、何も公務員に限った話ではなく、日本銀行に代表される特殊法人についても同様である。とりわけ、日本銀行は、日本銀行券を発行する等、行政権の一部を担っており、日本銀行員に対する天下り規制がないことは、多くの国民が疑問を持っていると思われ、特に、日銀特融の窓口として機能する日本証券金融株式会社(以下「日証金」という。)の社長を務めた十人は、日証金が上場した昭和二十五年以来、全員が日本銀行出身者であり、特別顧問の増渕稔氏に至っては、平成十六年に社長に就任した後、会長、特別顧問と役職を変え、未だに日証金から報酬を得ている。

 右を踏まえて、以下質問する。

一 なぜ、日本銀行員は、天下り規制法の対象となっておらず、他の法律においても、天下り規制法に類似する天下り規制の対象となっていないのか。政府の見解如何。

二 天下り規制法を国会に提出するまでの企画立案過程において、日本銀行員の天下りを規制するかどうか、議論が行われたのか。行われていれば、その過程を示されたい。

三 政府は、経済産業省作成の「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)」(平成三十年九月二十八日改訂)において、「相談役・顧問の役割・処遇は、各社によって一様でないがゆえに、外部から認識できない点で不透明さがあることは否定できず」、「我が国全体でコーポレートガバナンス改革を進めていく観点からは、会社が社長・CEO経験者を相談役・顧問等として抱え込むのではなく、他社の社外役員として活躍することを制約しないことが望ましい」としているが、現在もこの考えに変わりはないか。

 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。