質問主意書

第208回国会(常会)

質問主意書

質問第三一号

ウクライナ情勢を受けた経済制裁措置に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年三月二十五日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   ウクライナ情勢を受けた経済制裁措置に関する質問主意書

 新型コロナウイルス感染症と並んで、今後の世界経済・日本経済に大きな影響をもたらすことが懸念されるのは、ウクライナ情勢である。ロシアによるウクライナへの軍事行動は決して容認されるべきものでなく、日本も国際社会と協調した対応が今後とも求められる。

 ロシアがウクライナに対する侵略を開始したことに対して、G7諸国を始めとする国際社会は、武力行使を禁ずる国際法違反であり、力による一方的な現状変更は断じて認められないとの強い姿勢を明らかにした。そして、ロシア中央銀行の外貨準備資産の凍結や、国際的な決済ネットワークであるSWIFT(スイフト)からのロシア国内銀行の排除など、ロシアに対する厳しい経済制裁を次々と打ち出しており、日本も、その取組に加わっている。

一 政府においても、国際社会との協調の下で、経済制裁を含むあらゆる措置を講じ、早期の事態沈静化に寄与すべきものと考えるが、ロシアへの経済制裁措置に関する政府の所見を示されたい。

二 SWIFTからの排除を含む経済制裁の導入が明らかにされたことで、通貨ルーブルの下落、ロシア国内での預金の引出しの殺到などが報じられ、欧米の主要格付会社がロシア国債の格付を投機的水準に引き下げるなど、デフォルト(債務不履行)の可能性も指摘されるようになっている。ロシアに対する極めて厳しい制裁であることを示すものではあるが、その反面で、制裁を行った日本を含む各国にとっても、ロシアからの原油や穀物類の輸入が滞ることになり、インフレに拍車を掛けることになるなどの影響が強く懸念されている。

 日本では、ウクライナ情勢の悪化以前から、既にエネルギー価格を始め生活必需品の価格は上昇傾向にあり、国民生活や企業経営に影響を及ぼしてきた。今回の事態でエネルギー価格が更に上昇することで、日本経済に打撃を与える可能性も少なくない。現時点において、経済制裁措置が日本経済に与える影響を、政府はどのように見積もっているか。

三 経済制裁措置が発動されたことによる直接的な影響として、日本からロシア国内の在留邦人や日本企業の拠点への送金への支障が挙げられる。また、この情勢が長期化すれば、ロシア向けの貸出債権や投資についても回収が困難となる可能性がある。日本の三大メガバンクは近年ロシア向け融資を減らしているものの、最近でも約五千億円の残高があるとされており、損失が生じると収益を押し下げることになる。また、格付が引き下げられたロシア国債を組み入れる投資信託もあり、今後の動向によっては基準価格が下がるなど投資家への影響も懸念される。

 現時点において、国内の金融機関や金融サービスの利用者に及ぼす影響を政府はどのように把握しているのか、また、利用者保護に支障が生じないようにどのような政策的対応を講じているのか、示されたい。

  右質問する。