質問主意書

第208回国会(常会)

質問主意書

質問第二三号

介護従事者間におけるコロナ対応に係る取扱いの差異に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年三月三日

塩村 あやか


       参議院議長 山東 昭子 殿



   介護従事者間におけるコロナ対応に係る取扱いの差異に関する質問主意書

 介護サービスには、居宅サービスや施設サービス等の様々な種類が存在し、それぞれのサービスで介護従事者が活躍している。一方で、いかなるサービスに従事していようと、介護従事者は、高齢者の健康と福祉の増進のために欠かせない存在である。そのため、新型コロナウイルス感染症への対応に当たっては、従事するサービスの種類にかかわらず公平に取り扱われるべきと思慮するが、実際には、以下に例示するような差異が設けられてきた。

 まず、新型コロナワクチンの接種順位に関する取扱いである。新型コロナワクチンの初回接種について、当初は、医療従事者等、高齢者、高齢者以外で基礎疾患を有する者及び高齢者施設等の従事者の順に優先接種の対象とされ、居宅サービス等に従事する者については、その対象とされていなかった。その後、優先接種に関する取扱いが改められ、市町村は、居宅サービス事業所等の従事者を、優先接種の対象である高齢者施設の従事者の範囲に含めることができることとされたものの、この接種順位の特例の適用対象となるためには、居宅サービス事業所等は、一定の要件を満たすことが求められた。

 次に、介護職員の処遇改善に関する取扱いである。「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」(令和三年十一月十九日閣議決定)において、介護職員等を対象に、「収入を三%程度(月額九千円)引き上げるための措置を、来年二月から前倒しで実施する」とされたことを踏まえ、まずは、令和四年二月から同年九月までの賃金引上げ分として、補助金による処遇改善が行われることとなった。各事業所への補助金は、各事業所の総報酬に一定の交付率を乗じた額を支給するとされたところ、この交付率には、サービス区分ごとに差異が設けられた。例を挙げると、訪問介護等のサービス区分の交付率は二・一%とされたのに対し、介護老人福祉施設等のサービス区分の交付率は一・四%とされた。また、令和四年十月以降については、臨時の介護報酬改定により対応される予定であるところ、同年九月までの対応と同様に、サービス区分ごとに加算率に差異が設けられる予定であると承知している。

 以上を踏まえ、以下質問する。

一 前述のように、同じ介護従事者であっても、従事するサービスの種類によっては、新型コロナワクチンの接種順位や、処遇改善に当たっての交付率・加算率等に差異が設けられている。政府は、いかなる根拠を以て、高齢者施設等の従事者と居宅サービス事業所等の従事者の間に、新型コロナワクチンの接種順位の差異を設けたのか。また、政府は、いかなる根拠を以て、今般の介護職員の処遇改善の交付率・加算率に、サービス区分ごとに差異を設けたのか。いずれも具体的に明らかにされたい。

二 介護従事者の新型コロナワクチンの接種順位や処遇改善等について、日本と同様に、従事するサービスの種類によって差異を設けている諸外国の事例を政府として把握しているか。把握している場合、その具体例を併せて示されたい。

  右質問する。