質問主意書

第208回国会(常会)

質問主意書

質問第一五号

5G基地局整備の推進のための行政財産使用許可とインフラシェアリングの関係に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年二月十七日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   5G基地局整備の推進のための行政財産使用許可とインフラシェアリングの関係に関する質問主意書

 総務省は「インフラシェアリングによる5G基地局整備の推進」(二〇二〇年十二月)という資料において「民間シェアリング事業者の活用や公共的な施設、民間所有施設の基地局としての活用など、自治体も含め官民一体となって取り組む」としている。しかし、実際に自治体でインフラシェアリング(使用許可処分を受けた電気通信事業者の基地局に、別の電気通信事業者の設備を取り付けることをいう。以下同じ。)を行う事例は、東京都でわずかにある程度で、多くの自治体はインフラシェアリングを行おうとする事業者に対して、行政財産の使用許可処分(地方自治法第二百三十八条の四第七項の使用許可処分をいう。以下同じ。)を行わない。それは、ひとえに「行政財産の使用許可と許可の条件」(昭和四十年一月二十一日、自治行第三号、福井県総務部長宛行政課長回答。)において、「行政財産の目的外使用許可を受けた者が他の者に当該行政財産の全部又は一部を転貸することは、許可処分の性質上認められない」とされているからであると思われる。特に、一部の自治体においては、地域のお祭りの実行委員会に行政財産たる土地の使用許可処分を行ったところ、その実行委員会が当該土地において第三者に出店させ、それが後々住民から転貸に当たると指摘された事例や、ある行政財産に指定管理者が指定されているにもかかわらず、当該行政財産について自販機業者にも使用許可処分を出してしまい、二重の使用許可処分が問題となった事例等があり、外部監査で問題とされた事例すらある。「ひとつの行政財産を事実上二者以上に使用させること」自体に、トラウマをもっている自治体が少なからず存在しているのである。このような状況下において、課長レベルの通達すらなく、インフラシェアリングの推進を働き掛けても、今の「笛吹けど踊らず」という状況に変革が来ることなど、期待できようはずがない。

 右を踏まえて、以下質問する。

一 総務省が前述の資料において想定する一般的なインフラシェアリングにおいて、当該別の電気通信事業者は、直接に行政財産を使用するわけではなく、その上部空間上に存在する基地局に設備を取り付けるのであるから、当該行政財産を所有する自治体から特段の許可がなくとも、使用許可処分を受けた電気通信事業者の基地局に、当該別の電気通信事業者の設備を取り付けることができると考えるが、政府の見解如何。

二 民間の土地や建物で基地局設備を共有する場合は、実務上、電気通信事業者が用意したインフラシェアリング先の事業者に対しても基地局の使用を認める旨のひな形通知書(土地や建物の賃貸借契約書に対する覚書として機能するものをいう。以下同じ。)を土地や建物のオーナーに送付し、土地や建物のオーナーが、当該ひな形通知書に押印して返送するなどして、基地局の使用を認める意思表示さえすれば、土地や建物を二者以上で利用できる。この際、いちいち土地や建物を利用する電気通信事業者全員の社判は押印せず、もっぱら、土地や建物のオーナーのみが、ひな形通知書に押印するのみである。東京都の事例のように、携帯電話事業を行う電気通信事業者の全社が覚書に押印するというような、壮絶な手間をかけることは、民間においてほとんど存在しない。ひるがえって、地方自治体が所有する行政財産を使用したインフラシェアリングを推進するにあたって、地方自治体における事務手続きの簡素化は急務であるところ、地方自治法第二百三十八条の四第二項第四号によって行政財産を貸し付ける場合において、貸し付けた相手方以外の特定の第三者にもその行政財産を使用させるに際し、その第三者から押印を取り付ける必要はあるか。民間と同じように、貸し付ける際の条件として、貸し付けの相手方と特定の第三者のみに使用させることを条項に明記することのみでよいと考えるが、政府の見解如何。

 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。