質問主意書

第208回国会(常会)

質問主意書

質問第一〇号

財政資金の効率的支出に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年二月三日

木戸口 英司


       参議院議長 山東 昭子 殿



   財政資金の効率的支出に関する質問主意書

 本年一月十七日、令和四年度予算が第二百八回国会に提出された。一般会計歳出は百七・六兆円という過去最大規模の当初予算である。コロナ禍において国民の命を守り、国民生活の安定を確保するための予算であり、必要な財政支出は積極的に行うべきであると考える。その一方で、厳しい財政事情の下では、ワイズスペンディング(賢い支出)の考え方に基づいて、政策効果が乏しい歳出は削減しなければならない。

 令和四年度予算に計上されている予算に無駄なものがないか、非効率な事業が含まれていないかという観点から、以下質問する。

一 令和四年度予算でも、創発的研究開発推進基金の造成のための経費など複数の新規造成又は拡充される基金のための予算が計上されている。新規に造成される基金及び拡充される既存の基金のそれぞれについて、一般会計及び特別会計に分けて、基金の名称及び基金ごとの予算措置額を示されたい。なお、答弁に当たっては、私が令和三年十二月二十日に提出した「財政の単年度主義に関する質問主意書」(第二百七回国会質問第三八号)に対する答弁書(内閣参質二〇七第三八号)の「五について」の答弁形式を参照されたい。

二 令和三年十二月二十三日の経済財政諮問会議において、「新経済・財政再生計画改革工程表二〇二一」を決定した。その中の「歳出改革等 七・多年度にわたる基金事業のPDCA強化」において、国家課題に計画的に取り組む単年度事業費十億円相当以上の基金事業(終期のない基金事業については基金残高十億円以上のもの)について、PDCAの枠組みを二〇二一年度末までに構築すると明記している。対象とする基金を「単年度事業費十億円相当以上」又は「基金残高十億円以上」に限定した理由及び限定したことによって対象となる基金の数を示されたい。また、枠組みを検討する所管府省名及び検討状況、本取組によっていかなる効果が期待できると考えているのか、見解を示されたい。

三 政府は「新経済・財政再生計画改革工程表二〇二一」に「歳出改革等 四・公的サービスの産業化」を掲げ、民間の知恵・資金等を有効活用するとしている。民間委託及びPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)を始め、委託事業を活用する方向が明確に示されたと考える。

 委託事業は本来、国が自ら行うべき事務・事業等をその執行の適宜性・効率性等に鑑みて、他の機関(地方公共団体、公益法人、民間団体等)又は特定の者に委託して行わせるものである。国が実施する委託事業について一般会計と特別会計に分け、それぞれ府省ごとに令和元年度当初予算から令和四年度予算までの四か年について毎年度の予算額を億円単位で示されたい。あわせて、内訳として、受託者である地方公共団体、公益法人、民間団体等ごとの金額も示されたい。

四 民間団体等に対する委託事業について、政策効果やサービス向上に関するメリットをどのように考えているのか、見解を明らかにされたい。また、甘い見積もりによる必要以上の支出や過剰サービスによる財政支出の無駄遣いが懸念されるなどのデメリットをどのように考えているのか、見解を明らかにされたい。

五 民間団体等に対する委託事業について、政策効果の増大や財政支出の効率化を巡りこれまで政府として行ってきた取組を示した上で、今後更なるワイズスペンディングのために検討すべき課題を明らかにされたい。

六 「財政の単年度主義の弊害是正」の一環として、令和四年度一般会計予算において公共事業関係費に国庫債務負担行為を新規に二・一兆円設定する。国庫債務負担行為について、昭和五十七年度、平成四年度、平成十四年度、平成二十四年度及び令和四年度の各当初予算における一般会計及び特別会計ごとに、限度額の新規設定額を示されたい。

七 国庫債務負担行為の新規設定額はリース契約の活用やPFI事業の増加などにより、長期的には増加傾向にあると理解している。国庫債務負担行為は財政支出の効率化や公共工事の施工時期の平準化などが図られる一方で、後年度に支出を先送りして歳出の硬直化をもたらすことも懸念される。政府として国庫債務負担行為の増加による歳出の硬直化をどのように認識しているのか、見解を示されたい。

  右質問する。