質問主意書

第208回国会(常会)

質問主意書

質問第九号

緊迫するウクライナ情勢と日本政府の北方領土を取り戻す意思に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年一月三十一日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   緊迫するウクライナ情勢と日本政府の北方領土を取り戻す意思に関する質問主意書

 令和四年一月三十一日現在、多くのロシア軍がウクライナ国境近くに押し寄せ、ウクライナ軍も対決姿勢を見せているとのことである。そして、今にも両国で紛争が始まりかねない状況であり、世界の注目を集めている。

 ロシアが歴史上どのような国であるかについて、憲政史家の倉山満氏は著書「嘘だらけの日露近現代史」の中で「何があっても外交で生き残る」、「とにかく自分を大きく見せる」、「絶対に(大国相手の)二正面作戦はしない」、「戦争の財源はどうにかしてひねりだす」、「弱いヤツはつぶす」、「受けた恩は必ず仇で返す」、「約束を破ったときこそ自己正当化する」、「どうにもならなくなったらキレイゴトでごまかす」という八つの「ロシアの法則」を紹介している。いずれもこれまでのロシアの歴史を鑑みると妥当な見解であり、日本がこれまで煮え湯を飲まされているロシアに対峙する際に「ロシアの法則」は意識しておくべきことと考える。ロシア、ウクライナ両国が現在のような状況になっている背景としては、様々な要因が考えられるものの、主要な要因としては、ウクライナがNATO(北大西洋条約機構)加入に前向きな姿勢を示していることに対してロシアが反発している意図が挙げられる。ウクライナに対するロシアの軍事的圧力は、自分勝手な都合でウクライナという独立国の主権を制限しようとして兵力にものを言わせた脅しであり、非難されてしかるべき行為であると考える。

 本件に対する日本政府の今後の姿勢が極めて重要であるため、以下質問する。

一 現在、ロシアがウクライナに対してNATO加入をさせまいと軍事的圧力をかけていることに関して政府の見解を示されたい。

二 報道等によると、ロシアはウクライナ国境近くに史上まれにみるような規模で兵力を終結させており、その中にはロシアが極東に配置している部隊も含まれているとのことである。ウクライナ人で日本在住の政治評論家ナザレンコ・アンドリー氏がSNS上で「ロシアがウクライナ国境に集結させている軍は、極東から移動された部隊が多いです。日本が北方領土を取りに来ないとわかっているから、「東の防衛にはそんなに力いれなくていい」と思っているでしょう」と述べている。

 これは見方を変えれば、日本が固有の領土としている北方領土を不法占拠しているロシアから実効支配を取り戻そうという努力が足りないがゆえに、ロシアがウクライナに強大な軍事的圧力をかけることを可能としていると考えることができる。逆に、日本がロシアに対して日本固有の領土である北方領土を取り戻すための懸命な努力をすれば、現況のウクライナの緊迫した情勢を解決し、日本の存在感を世界にアピールする絶好の機会であるともいえるが、政府の見解を示されたい。

三 現在不法占拠されている我が国固有の領土である北方領土や竹島を取り戻すことを想定して、自衛隊は米軍などの同盟国の軍隊と合同で訓練を行っているか、あるいは行ったことがあるか。日本政府が公表可能な範囲で伺いたい。

四 現在不法占拠されている北方領土の周辺海域において、自衛隊が米軍などの同盟国との軍隊と合同で訓練を行うなどの行動を起こす、あるいはそのような行動を表明することは、二正面作戦を嫌うロシアにとってウクライナへの侵攻をとどまらせる動機となり得ると考える。北方領土の周辺海域で、自衛隊が米軍などの同盟国の軍隊と合同で訓練を行うべきという考えに対する政府の見解を示されたい。

  右質問する。