質問主意書

第208回国会(常会)

質問主意書

質問第八号

障害者グループホームとマンション管理規約に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年一月二十五日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   障害者グループホームとマンション管理規約に関する質問主意書

 二〇二二年一月二十日、大阪地方裁判所にて、分譲マンションの管理組合が、社会福祉法人に対し、障害者が暮らすグループホーム(以下「GH」という。)としての部屋の使用は、住宅以外の入居を禁止する管理規約に違反するとの理由に基づきGHとして部屋を使わないように求めた訴訟の判決があった。

 報道によれば、当該マンションは一九八八年築の十五階建て、社会福祉法人は約二十年前から二部屋を借りてGHを運営しており、障害者六人が生活しているとのことである。

 また、判決では、自力での避難が難しい障害者らのGHがあることで、マンションは、毎年、消防法令上の点検義務を負い、将来的に消防用設備の設置に伴う金銭的負担も想定されるところ、管理組合は管理のあり方が変わらないように部屋の用途を管理規約で住宅に限定していたために、GHとしての使用は「(他の入居者らを含む)共同の利益に反する」と判示したとのことである。

 一方で、障害者のGHは都市部を中心に約二割がマンションなどの共同住宅にあるとされているとの報道もあるところ、この現状を放置すれば、障害のある人が地域で暮らすために不可欠なGHとしての部屋の使用が、マンションなどで軒並み認められなくなる可能性が出てくると考える。

 右を踏まえて、以下質問する。

一 政府は、一般論として、障害者の権利に関する条約第十九条が存在することとともに、障害のある人が、地域社会で生活する平等の権利を有し、地域社会に完全に包容されるだけでなく、居住地を選択し、どこで誰と生活するかを選択する機会を有しているものと認識しているか。

二 政府は、一般論として、障害者のGHの何割ほどが、都市部を中心に、マンションなどの共同住宅にあると認識しているか。

三 一般論として、障害のある人が地域で暮らすために不可欠なGHとしての部屋の使用がマンションなどで軒並み認められなくなる可能性について、政府としては、どの程度認識・予見し、どのような対策を講ずべきものと考えているか。また、この観点から、すでに実際に講じた政策には、どのようなものがあるか。

 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。