質問主意書

第207回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二〇七第二六号
  令和三年十二月二十八日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員塩村あやか君提出不妊治療における受精卵や配偶子の取り違え事故に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員塩村あやか君提出不妊治療における受精卵や配偶子の取り違え事故に関する質問に対する答弁書

一について

 国内における御指摘の「受精卵や配偶子の取り違え事故の発生件数や発生に至った原因等」については、網羅的には把握していないが、医療法施行規則(昭和二十三年厚生省令第五十号)の規定に基づき公益財団法人日本医療機能評価機構において行われている「医療事故情報収集等事業」においては、受精卵又は精液の取り違えについて、平成十六年十月から令和元年六月までの間に五件報告されており、その発生に至った要因としては、容器と患者との照合や患者確認が不十分であったこと、特定の者に業務が集中していたこと等が報告されていると承知している。

 また、国外における「受精卵や配偶子の取り違え事故の発生件数や発生に至った原因等」については、把握していない。

二について

 「いかなる措置を講じてきたのか」とのお尋ねについては、従前より、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第六条の十二の規定に基づき、全ての医療機関に対して、医療の安全を確保するための指針の策定、従業者に対する研修の実施その他の医療の安全を確保するための措置を義務付け、医療の安全を確保するための体制の整備を図っているほか、①「医療事故情報収集等事業」において、特定機能病院や独立行政法人国立病院機構の開設する病院等から報告された医療法施行規則第九条の二十の二第一項第十四号に規定する事故等事案等を公益財団法人日本医療機能評価機構において収集・分析し、その結果を医療機関等へ幅広く情報提供することにより、医療安全対策に有用な情報を共有し、医療安全対策の推進を図る、②「安心こども基金管理運営要領」(平成二十一年三月五日付け二十文科初第千二百七十九号・雇児発第○三○五○○五号文部科学省初等中等教育局長及び厚生労働省雇用均等・児童家庭局長連名通知別紙)に基づく不妊に悩む方への特定治療支援事業において、都道府県、指定都市及び中核市の長が、特定不妊治療(体外受精及び顕微授精をいう。)を実施する医療機関を指定する基準(以下「指定基準」という。)を定める際の指針として、医療安全管理体制の確保の観点から、「自医療機関において保存されている配偶子、受精卵の保存管理及び記録を安全管理の観点から適切に行うこと」、「体外での配偶子・受精卵の操作に当たっては、安全確保の観点から必ずダブルチェックを行う体制を構築すること」等を採卵・胚移植を行う医療機関の要件とすることを示すなどの取組を行っているところである。

 政府としては、引き続き、医療法の規定に基づく適正な医療安全対策の実施の推進等を行うとともに、令和四年四月からの不妊治療の保険適用に際しては、不妊治療を実施する医療機関の診療報酬上の施設基準等の在り方について、指定基準等を踏まえ、中央社会保険医療協議会において検討してまいりたい。