質問主意書

第207回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二〇七第八号
  令和三年十二月二十一日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員浜田聡君提出天皇及び皇族が御結婚される際に例外的な対応を行う場合の処理等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出天皇及び皇族が御結婚される際に例外的な対応を行う場合の処理等に関する質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねの「儀式等」に係る国事行為、公的行為又はその他の行為として執り行われた直近の例としては、国事行為については平成五年に執り行われた皇太子殿下(当時)の御結婚に係る結婚の儀が、公的行為については平成二年に執り行われた文仁親王殿下(当時)の御結婚に係る結婚の儀が、その他の行為については平成三十年に執り行われた絢子女王殿下(当時)の御結婚に係る納采の儀が、それぞれ挙げられる。

 平成五年の結婚の儀については、皇太子の法律上の地位に鑑み、国事行為である憲法第七条第十号の儀式として行われたものである。平成二年の結婚の儀については、皇族男子という特別な地位に鑑み、結婚に際し執り行われる主要な儀式であることから公的行為に該当するものと考えている。平成三十年の納采の儀については、国事行為又は公的行為に該当しないものであることから、その他の行為に該当するものと考えている。

一の2から4までについて

 お尋ねの「天皇及び皇族は、儀式等への参加を辞退することを申し出ること」及び「天皇及び特定の皇族が、天皇及び他の特定の皇族が参加する儀式等について、その儀式等を行わないことを申し出ること」の意味するところが必ずしも明らかではなく、お答えすることは困難である。なお、国家機関としての行為である国事行為には内閣の助言と承認が必要とされているところ、これは内閣が実質的に国事行為を決定することを意味するものであり、その決定に当たり国会の審議や議決は必要とされていない。また、公的行為及びその他の行為は、天皇又は皇族の自然人としての行為であり、その実施及び内容については、天皇又は皇族の意思に基づき行われるものと考えられる。

二の1について

 昭和二十二年十月十四日に五十一方が皇族の身分を離れ、そのうち四十方に皇族がその身分を離れる際に支出する皇族費(以下「一時金」という。)が支出されたが、元軍籍にあった十一方には一時金は支出されなかった。

二の2及び3について

 昭和二十二年五月三日から同年十月十四日までの間で開催された皇室経済会議は、同月十三日に開催されたもののみであり、同日の皇室経済会議において、皇族の身分を離れる者のうち四十方に対する一時金の額が議決された。当該皇室経済会議の議案においては、皇族の身分を離れる者のうち一時金を支出しなかった十一方については言及がない。また、当該十一方に対する一時金の支出義務の存否について判断をした者については明示的な記録はない。

三の1から3までについて

 お尋ねについては、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律(昭和二十二年法律第八十号)に関するものであり、国会において御判断いただくべき事柄であると考えている。

三の4について

 宮内庁は、宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第二条第七号に基づき「皇族に関すること」を所掌しており、一時金の支出についても所掌していると解されることから、一時金の支出義務の存否の判断は、その長である宮内庁長官により、諸般の事情を総合考慮して行われるものと考えられる。

三の5について

 お尋ねの「一時金の使途に関する御自身の御見解を何ら公言せず、その上で一時金を自らの意思で辞退された」の意味するところが明らかではないが、一時金の支出義務の存否の判断は、宮内庁長官により諸般の事情を総合考慮して行われるものと考えられる。

三の6について

 一時金については、政府の皇室制度の円滑な運用に対する責任の一環として、公益的観点から支出するものであるが、法律上政府が「皇族であつた者としての品位」が保持されているか否かを確認することまでは求められておらず、お尋ねについてお答えすることは困難である。

四について

 お尋ねについては、個別具体的に判断する必要があるため、一概にお答えすることは困難であるが、一般論として、行政機関の職員は、公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号)第四条の規定に基づき、文書を作成する義務がある。また、皇族が婚姻により皇族の身分を離れる際の一時金を支出しないことを決定する際に、宮内庁の職員が職務上作成し、又は取得した文書であって、同庁の職員が組織的に用いるものとして同庁が保有している文書は、同法第二条第四項に規定する行政文書に該当する。

 なお、子内親王殿下(当時)の御結婚に係る「儀式等」を行わないことについての決定は、行政機関における意思決定ではないことから、同法第四条に規定する文書を作成する必要はないものと考えている。

五の1及び2について

 様々な報道がなされていたことは承知していた。

五の3について

 加地皇嗣職大夫は、令和三年十月一日の会見において、子内親王殿下(当時)が、平成二十七年に当時の宮内庁長官に対して一時金を辞退することができるか相談され、その後、西村宮内庁長官に対し、一時金を辞退できない場合はお手元に残さず全額を寄付されるお気持ちである旨を伝えられていた旨発言したと承知している。

六について

 お尋ねの秋篠宮皇嗣殿下の御発言については、秋篠宮皇嗣殿下が自らのお考えを述べられたものと受け止めており、政府としての見解を述べることは差し控えたいが、秋篠宮皇嗣殿下のお考えも踏まえつつ、皇族の侍側奉仕を行う宮内庁において、引き続きしっかりとお支えをしていく必要があるものと考えている。