質問主意書

第207回国会(臨時会)

質問主意書

質問第五一号

わいせつ保育士の再登録を厳格化する方針に実効性を持たせることに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年十二月二十一日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   わいせつ保育士の再登録を厳格化する方針に実効性を持たせることに関する質問主意書

 わいせつ行為により登録を取り消された保育士について、厚生労働省は二〇二一年十一月四日の「地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会」で、再登録を厳格化する対応案を示した。取消し後、二年たてば再登録できる仕組みを改め、期間を最大十年まで延長した上で更生状況などにより再登録を拒否できるようにする。厚生労働省は来年の常会に児童福祉法改正案の提出を目指すとされている。

 保育士によるわいせつ行為は、未成熟な子供の心身に深い傷を負わせる。また、幼い子供は、自分の身に起きた出来事を理解して、周囲にうまく説明するのが難しい。そこにつけ込むことは、絶対に許されない。このような卑劣な行為に対し、国は被害を食い止めるため、厳しく対処すべきであり、今回の法改正の方向性は基本的に正しいと考える。

 ただし、児童福祉法が規定している「登録取消制度」は、当該保育士本人が禁錮以上の刑に処せられた旨を都道府県知事に届け出ることを前提としている。神奈川県で起きた事件では、実刑判決を受けた保育士が届出を行わず、登録が取り消されないまま、出所後に再びわいせつ事件を起こした事例もあった。このことから、新制度に実効性を持たせるためには、まずは都道府県が保育士のわいせつ事案を確実に把握することが重要となる。

 この懸念に関しては、私が二〇一八年三月七日に提出した「保育士の登録取消制度の実効性確保策に関する質問主意書」(第百九十六回国会質問第三一号)で指摘したところであるが、個人情報に過度に配慮した極めて消極的な答弁がなされた経緯がある。

一 二〇一九年に当時の根本厚生労働大臣が法務省から刑が確定した保育士の情報を直接提供してもらえるよう検討を進める方針を示したとされているが、この検討の結果はどのようになったか。明らかにされたい。

二 政府は、保育士が禁錮以上の刑に処せられたことを都道府県知事が確実に把握できるとの認識か。仮に確実とまではいえないという認識ならば、把握するための方策をどのように考えているか。

三 政府は今後、教員と同様、各保育施設が保育士の処分歴を閲覧できるデータベースを構築する予定とされているが、実現までのタイムスケジュールと課題を示されたい。

四 わいせつ事案の過去歴のある保育士が処分歴を隠して、ベビーシッターに転じたり、放課後児童クラブで働いたりする可能性もある。子供に接する幅広い職場で、子供が成長する安全な環境を守るという制度の趣旨が貫徹されるよう、方策を検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。