質問主意書

第207回国会(臨時会)

質問主意書

質問第四六号

トラック運送に係る休憩・休息設備の充実に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年十二月二十一日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   トラック運送に係る休憩・休息設備の充実に関する質問主意書

 トラックドライバー(以下「ドライバー」という。)は改善基準告示など法令上の規制において、連続運転時間(四時間以内、その後三十分以上の休憩等が必要)、一日当たりの運転時間(二日平均九時間以内)、休息期間(継続八時間以上)等が義務付けられている。これらの法令を遵守するためには運送業務の中途で休憩・休息する必要がある。これが休憩・休息用の駐車スペースが必要な所以である。それだけではなく、ドライバーは、工場や物流施設などに指定された時間に搬入しなければならず、早着も延着も許されないために、時間調整を強いられるケースも多い。この時間調整のためにも、駐車スペースは必要である。

 しかし、高速道路のSA・PAや幹線国道等の休憩・休息用の駐車スペースは全国的に不足しており、ドライバーが満足に休憩・休息・時間調整等をすることができない状況にある。

 在庫コストを減らすためなどに「ジャストインタイム」を求めている荷主側が、一時駐車できる場所を自ら用意することは少ない。業界団体である全日本トラック協会は、仮眠や食事ができるトラックステーションを運営しているものの、修繕や運営に係る費用捻出等に苦慮しており、全国のトラックステーションはピーク時の約四十か所から二十五か所に減少している。

 以上を踏まえて、以下のとおり質問する。

一 トラック運送のサービスは、国民生活や企業活動を支えるまさに必須の社会インフラであり、誰もがその恩恵を享受している。そのことを考え合わせると、ドライバーのための休憩・休息設備の整備は、広義には社会全体の問題であり、高速道路会社における増設・拡充のみならず、地方自治体等と連携した幹線国道等における「道の駅」の増設・拡充や、流通団地・工業団地等における大規模駐車施設の設置等について、国がイニシアチブをとり、取り組むべきと考えるが、政府の認識を伺う。

二 既にオーバーフローしているSA・PAの駐車容量を拡大するために、既存SA・PAの敷地内で駐車スペースを高層化するという提案が業界団体から出されている。確かに、新たな用地確保が不要な分、迅速に駐車容量の拡大が実現可能であると考えるが、この提案についての政府の見解を明らかにされたい。

三 ドライバーの勤務時間中の心身の健全性を確保するためには、シャワー施設等、休憩・休息建屋内の施設の充実も重要であり、特に、新型コロナウイルス禍においては、その重要性は高まっている。ついては、シャワー施設等のあるSA・PA、道の駅を増やすよう努めるべきと考えるが、シャワー設備等増設の必要性についての政府の認識を示されたい。

四 新型コロナウイルス禍においてドライバーの感染を防止するため、SA・PA、道の駅等の休憩・休息施設における消毒、衛生管理等の徹底に加え、自動水栓化等の非接触への対応など感染防止対策を強化すべきと考えるが、政府の見解を示されたい

五 新型コロナウイルス禍による時短営業によって、休憩・休息建屋内の食堂や売店などでの食料確保が困難な例がある。緊急事態宣言等の実施期間中のドライバーの食事の確保については、情報提供等の取組はなされているが、ドライバーはほとんど単独で食事をとっており、運行中の飲酒もあり得ないことから、地方自治体と調整の上、通常営業とするなどの検討が必要ではないか。政府の認識を伺う。

  右質問する。