質問主意書

第207回国会(臨時会)

質問主意書

質問第四五号

金銀パラジウム合金の逆ザヤ問題の根本的解決に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年十二月二十一日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   金銀パラジウム合金の逆ザヤ問題の根本的解決に関する質問主意書

 歯科治療に欠かすことのできない金属材料である金銀パラジウム合金(以下「金パラ」という。)の価格が高騰し、歯科医療機関での購入価格(市場価格)が保険償還価格(公定価格)を上回るいわゆる「逆ザヤ」の状況がほとんどの期間で生じている。

一 この逆ザヤ問題について、「衆議院議員稲富修二君提出歯科治療の材料である金銀パラジウム合金の購入価格が保険償還価格を上回る「逆ザヤ」に関する質問に対する答弁書」(内閣衆質二〇一第八七号)において、政府は「「特定保険医療材料の保険償還価格算定の基準について」(令和元年八月十九日付け保発〇八一九第五号厚生労働省保険局長通知)に基づき、慣例的におおむね二年に一度実施している診療報酬改定に加えて、六か月に一度、素材の市場価格が告示価格の決定に用いた素材の市場価格のプラスマイナス五パーセントを超えて変動した場合には、市場価格を踏まえた改定を行っており、当該通知に基づき、適切に対応してまいりたい」と答弁している。

 また、二〇二〇年三月二十五日の中央社会保険医療協議会総会(以下「中医協総会」という。)では、従来の改定機会の三か月後(七月と一月)に、直近四か月前時点の過去三か月の素材価格の変動がプラスマイナス十五%以上の場合に、変動幅を上乗せする「随時改定Ⅱ」を組み込み、逆ザヤの緩和を図る措置が講じられることとされている。

 これらの方策により、逆ザヤ問題は根本的に解決し、今後ほとんどの期間について同様の問題は起こらないと政府は判断しているのか。

二 金パラの市場価格が公定価格を上回った逆ザヤが生じている期間についての過去五年間の推移を示されたい。あわせて、金パラ単独の実勢価格との乖離幅も示されたい。

三 この逆ザヤ問題は、二〇〇一年三月二十二日の参議院厚生労働委員会で取り上げられて以来、たびたび問題とされ、二十年もの間、未解決のままとなってきた。今回の報酬改定を機に、根本的な解決への方策を議論すべきではないか。政府の見解を示されたい。

四 二〇二一年七月二十一日の中医協総会で、歯科用貴金属材料の基準材料価格改定についてどのように考えるかという論点が示された。これは金パラの価格決定ルールに対する根本的な問いである。この問いかけに対し、林正純委員は、「後追いの仕組みでは限界があり、抜本的な制度そのものの検討も必要ではないか」とし、より現場の実態を反映できる制度設計の構築等の検討が必要である旨述べている。

 その後、二〇二一年九月十五日の中医協総会に出された「令和四年度診療報酬改定にかかる議論の中間とりまとめについて」における歯科用貴金属の随時改定に関する「主な意見」として、(1)随時改定には三か月前の平均素材価格を用いているが、このいわゆるタイムラグについて、より直近の平均素材価格を反映できる制度の構築や、随時改定の頻度について、検討する必要がある、(2)診療報酬改定時に用いる市場実勢価格の調査についても、より精度を高めるようにお願いするという二点しか記載がない。

1 これらが林正純委員の指摘した「抜本的な制度そのものの検討」と言えるのか、政府の認識を示されたい。

2 これらは、林正純委員の指摘した「後追いの仕組み」に当たるのではないか、政府の認識を示されたい。

  右質問する。