質問主意書

第207回国会(臨時会)

質問主意書

質問第九号

ゲーム障害を精神疾患に位置付けるか否かに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年十二月九日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   ゲーム障害を精神疾患に位置付けるか否かに関する質問主意書

 疾病及び関連保健問題の国際統計分類に掲載されたかどうかと、掲載された項目が疾病であるかどうかは、その名に「及び関連保健問題」が含まれているとおり、別問題である。例えば、ICD―10においては性欲欠如又は性欲喪失が項目として記載されているが、現代において、性欲を持たないアセクシャルの方が精神疾患であると断言することは難しいであろう。

 ところが、令和二年二月六日に開催された厚生労働省「ゲーム依存症対策関係者会議」の資料一において、「WHO(世界保健機関)においても、ゲーム障害が、精神疾患の一つとして位置づけられたところである」との記載がある。

 右を踏まえて、以下質問する。

一 山田太郎デジタル大臣政務官がツイッターにて「WHOがICD―11は国際分類をしただけでゲーム障害を精神疾患と認めた訳ではない」と指摘するように、WHOはゲーム障害をただICDに記載しただけで、精神疾患として認めたわけではないと承知しているが、政府の見解如何。

二 もし、ICDに掲載された項目がすべて疾患であると政府が主張するなら、政府自らアセクシャルの方に対し「あなたは精神疾患者です」というレッテルを貼りかねないが、これは、主として法務省が取り組む性的少数者に対する差別解消の取組と逆行することになるのではないか。政府の見解如何。

三 ゲーム障害は、社会保障審議会の統計分科会疾病、傷害及び死因分類専門委員会において和訳及び社会保障審議会において病気認定がなされていないと承知しているが、政府の見解如何。また、そのようなものをあたかも精神疾患かのように扱うことは不適切であると思うが、政府の見解如何。

四 ゲーム障害に対する専門家の見解は必ずしも一致していない中、令和三年十一月、アンドリュー・シュビルスキー氏がWHOにゲーム障害の根拠を問い合わせたところ、WHOは根拠を示すことができなかった上に、ゲーム障害の解説ページを削除する事態に陥った。また、ICD―11作成の中心メンバーであるジェフリー・リード氏は、ゲーム障害を採用することに「アジアの国々から大きな圧力を受けている」と、政治的要素があったことを告白している。このような状況下において、ゲーム障害を果たして日本において精神疾患とみなすかどうかは慎重に慎重を期さねばならないことは当然である。しかしながら、ゲーム依存症対策関係者会議の構成員を見ると、国立病院機構久里浜医療センター院長の樋口氏をはじめとする「ゲーム障害は疾患である」と主張する専門家が構成員となっており、ゲーム障害を新たに精神疾患とすることに慎重である専門家はいないように思われる。専門家の意見が割れている場合、両論を傾聴したうえで慎重な判断が求められるところ、政府は、なぜゲーム障害を新たに精神疾患とすることに慎重である専門家をゲーム依存症対策関係者会議の構成員に含めなかったのか。政府の見解如何。

 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。