質問主意書

第207回国会(臨時会)

質問主意書

質問第五号

国会議員の依頼によって官僚が作成するあいさつ文や講演資料に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年十二月七日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   国会議員の依頼によって官僚が作成するあいさつ文や講演資料に関する質問主意書

 令和三年十一月二十日付けの朝日新聞の記事によると、国会議員の一部が支援団体などの会合に出席する際、あいさつ文や講演資料の作成を厚生労働省の職員に依頼していることが、同省の内部調査で分かった。依頼件数は、令和元年十二月から令和二年十一月までで少なくとも四百件にのぼっているという。公務員が一部の政治家のために活動することは法の理念にそぐわないばかりでなく、若手職員の士気低下にもつながることから、霞が関のさらなる人材流出を招きかねず、強い危機感を覚える。そこで以下質問する。

一 令和元年十二月から令和二年十一月までの間に厚生労働省以外の他省庁は、衆議院又は参議院の議員からあいさつ文や講演資料の作成を依頼され、作成したことはあるか。あれば省庁名を挙げられたい。

二 人事院規則一四―七(政治的行為)に関し、以下の1及び2について政府の見解を示されたい。

1 政治家は、あいさつ文や講演資料を用いて政治活動を行うのであるから、政治家が依頼してきたあいさつ文や講演資料の作成を国家公務員がその部下に命ずることは、人事院規則が禁止する「政治的目的のために職名、職権又はその他の公私の影響力を利用」していることにならないか。また、「政党その他の政治的団体の機関紙たる新聞その他の刊行物を発行し、編集し、配布し又はこれらの行為を援助すること」や「政治的目的を有する署名又は無署名の文書、図画、音盤又は形象を発行し、回覧に供し、掲示し若しくは配布し又は多数の人に対して朗読し若しくは聴取させ、あるいはこれらの用に供するために著作し又は編集すること」に該当しないか。政府の見解如何。

2 国家公務員は、国会議員が依頼してきたあいさつ文や講演資料の作成を上司から命令されても、法や人事院規則に反すると疑われる場合は、当該命令を当然断るべきであると思うが、政府の見解如何。また、そのような命令を発した上司は、法に反して政治的行為を行ったと疑われるのであるから、作成を命令された国家公務員は、刑事訴訟法第二百三十九条第二項に従い、上司を刑事告発すべきではないか。政府の見解如何。

 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。