質問主意書

第206回国会(特別会)

答弁書

内閣参質二〇六第一二号
  令和三年十一月十九日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員浜田聡君提出老朽化等マンションの建替え等促進策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出老朽化等マンションの建替え等促進策に関する質問に対する答弁書

一の1について

 マンションの建替え等の円滑化に関する法律(平成十四年法律第七十八号。以下「法」という。)第九条第一項の規定に基づくマンション建替組合の設立認可又は法第百二十条第一項の規定に基づくマンション敷地売却組合の設立認可を受けた上で、法第百五条第一項の規定に基づく容積率の特例に関する許可(以下「容積率の特例許可」という。)を受けたマンションとして、令和二年四月以降に新たに把握した件数は、令和三年五月末時点で三件である。

一の2及び3について

 マンションの建替え等に当たっては、区分所有者等において、マンションの建替え等に係る制度について十分に理解し、広く合意形成を行った上で建替え等の方針を決定する必要があり、容積率の特例許可を受けるまでに一定の時間を要すると認識している。また、マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律(令和二年法律第六十二号。以下「改正法」という。)により、法第百二条第一項の規定に基づくマンションの除却の必要性に係る認定(以下「要除却認定」という。)の対象が拡大されたところであり、新たに要除却認定の対象となるマンションに係る基準(以下「要除却認定の基準」という。)についてもマンションの客観的な状況に基づき判断できるものとするとともに、要除却認定を含むマンションの建替え等に係る制度の内容を広く周知することにより、要除却認定の件数が増加するものと考えられ、これに伴い、容積率の特例許可についても活用が促進されるものと考えている。

一の4について

 御指摘のような実例については具体的に把握していないが、容積率以外の建築規制により、容積率の特例許可の活用が限定されるマンションが存在する可能性があることは承知している。また、建替えにより新たに建築されるマンションは、原則としていわゆる斜線制限、日影規制等の現行の建築規制に適合させる必要がある一方で、いわゆる斜線制限については、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第五十六条第七項による適用除外があり、いわゆる日影規制については、同法第五十六条の二第一項ただし書による特定行政庁の許可による緩和が可能であること等から、容積率の特例許可を活用する際の容積率以外の建築規制による影響について、一概にお答えすることは困難である。

一の5について

 改正法では、容積率の特例許可の対象を拡大したほか、マンション敷地売却制度の対象も拡大するとともに、老朽化したマンションを含む団地における敷地分割制度を創設しており、既存の制度の周知に加え、これらの制度の活用を総合的に推進することにより、老朽化したマンションの建替え等を円滑化することとしている。

二の1について

 要除却認定の基準については、特定行政庁において適正かつ円滑に要除却認定が行われるように、マンションの客観的な状況に基づき判断できるものとするよう検討している。また、御指摘の故意に修繕を行わずに劣化状況を放置することを抑制する観点からも、改正法による改正後のマンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成十二年法律第百四十九号。以下「改正マンション管理適正化法」という。)第五条第一項において、管理組合がマンション管理適正化指針の定めるところに留意して、マンションを適正に管理するよう自ら努めることとされていることを踏まえ、マンション管理適正化指針において、長期修繕計画の作成や見直し等の必要性について記載し、適時適切な維持修繕を促すこととしている。

二の2について

 容積率の特例許可を受けた上で建替えにより新たに建築されるマンションについては、基本的にバリアフリー化を求めることとし、改正法による改正後の法第百二条第二項第五号の規定に基づき国土交通大臣が定める基準等を満たすことを、特定行政庁が確認できるようにすることを検討している。

三の1について

 今後、老朽化したマンションが更に増加していくこと等を踏まえ、規制改革実施計画(令和二年七月十七日閣議決定)に基づき、建替え決議等の在り方について、要件の緩和等の方策も含めて検討していくこととしている。

三の2について

 マンションの管理の主体は、区分所有者等で構成される管理組合であり、改正マンション管理適正化法第五条第一項においては、管理組合がマンションを適正に管理するよう自ら努めるものとされている。国土交通省が策定しているマンション標準管理規約においても、修繕積立金の額は管理組合において自主的に決定されるべきものとしており、同省においては、管理組合において適正な修繕積立金の額の設定及び積立てが促進されるよう、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を策定し、その周知徹底に努めているところであるが、御指摘の修繕や除却に要する資金の積立てについて、法的に義務付けることについては、慎重な検討が必要と考えている。