質問主意書

第206回国会(特別会)

答弁書

内閣参質二〇六第六号
  令和三年十一月十九日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員浜田聡君提出皇室経済法第六条に規定されている一時金不支給に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出皇室経済法第六条に規定されている一時金不支給に関する質問に対する答弁書

一の1、3及び5について

 皇族費(皇室経済法(昭和二十二年法律第四号)第三条の皇族費をいう。以下同じ。)は、同法第六条第一項において、皇族及び皇族であった者としての品位保持の資に充てるために支出するものとされており、政府の皇室制度の円滑な運用に対する責任の一環として、公益的観点から支出するものである。

 したがって、政府は、基本的には皇族費を支出する義務があると考えられるものの、一般に、政府が一定の目的のために金銭等を支出することとされる場合において、その目的が達成されないことがあらかじめ明らかであるようなときにまで、その支出義務を負うと解するのは困難であることから、皇族がその身分を離れる際に支出する皇族費(以下「一時金」という。)について、当該皇族が一時金を品位保持の資に充てる意思を持っていないことが客観的に明らかな例外的な場合まで支出義務を負うものではないものと考えられる。

 また、宮内庁は、宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第二条第七号に基づき「皇族に関すること」を所掌しており、一時金の支出についても所掌していると解されることから、一時金の支出義務の存否の判断は、その長である宮内庁長官により行われるものと考えられ、皇室経済会議が一時金の支出義務の存否の判断について役割を果たすことは制度上想定されていないと解される。

一の2について

 皇族の身分を離れる者が一時金の受領に関し何らかの意思を表明することは、国事行為ではないため、内閣の助言と承認を必要とするものではなく、また、当該一時金の受領という、個別的な事柄についての当該皇族自身の個人としての行為又は対応に関する考えを述べるものに過ぎず、現行制度そのものの改変を意図するといった政治的見解を持つ、又は政治的な影響を持つような発言とはみられない。

 したがって、皇族の身分を離れる者が一時金を受け取らないという意思を表明することや、政府がその意思の表明を踏まえて一時金の支出義務について判断することは、憲法第四条第一項に抵触するものではない。

一の4及び6について

 今般の眞子内親王殿下(当時)に対して一時金を支出しないとする判断は、国会の定めた法律に従って適切に行われたものであり、別途国会への報告が必要とは考えていない。

二の1について

 我が国の民事裁判権は、我が国内にいる全ての人に及ぶのが原則であり、皇族に民事裁判権が及ぶことを否定する明文の規定及び最高裁判所の判例はないと承知している。

二の2から4までについて

 皇族が一般に自ら民事訴訟及び行政訴訟を提起することができるか否かについては、皇族であることを理由としてこれを否定する明文の規定はないと承知している。

三の1について

 お尋ねの「誤った情報が事実であるかのような印象を与えかねない質問」は、政府に対するものではないことから、政府として見解を申し上げる立場にはない。

三の2について

 お尋ねについては、個人のプライバシーに関わる事柄であり、政府として見解を申し上げることは差し控える。

三の3について

 お尋ねについては、「治療を支援する等の考え」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。なお、皇族の身分を離れた者は、政府において皇室関係の国家事務をつかさどる宮内庁が侍側奉仕(宮内庁組織令(昭和二十七年政令第三百七十七号)第三条第三項の侍側奉仕をいう。)をする対象ではない。

四について

 お尋ねについては、令和三年十月二十八日の記者会見において、宮内庁長官が「この度の御結婚に当たり、お二人の御健康と末永いお幸せをお祈りいたします」と述べているとおりである。